| 2005年(平成17年)8月1日(月) 全日病ニュース 第622号 |
| 医療法人制度改革 既存法人は残余財産で経過措置。「拠出金」への移行を促す |
| 「医業経営の非営利性等に関する検討会」は7月22日に報告をまとめ、非営利の徹底と公益性を高める立場から、2006年に実施する医療法人制度改革の全体像を明らかにした。それによると、持分ある医療部会「中間まとめ」に盛り込まれ、同部会でりょうしょうされた。それによると、持分ある医療法人は、現行法の下でも出資額以上の分配請求が認められていないが、「営利を目的としない」要件を医療法などに詳しく書き込むことによって、あらためて、その主旨が周知徹底される。 報告は「出資金」という既念を否定。配当・利息を伴わない「拠出金」という既念を用いて、持分ある医療法人の非営利性を象徴させると共に、それを担当する法的な措置を展開している。法改正後に新設される持分ある医療法人は、非営利性を徹底した「拠出金制度」の医療法人となる。ただし、残余財産の分配に関しては、既存の医療法人に「公益性の高い医療法人制度」を再構築し、公的医療機関に偏ってきた”政策医療≠フ新たな実績者として位置付けるとともに補助金や税制優遇などの面で支援対象とするなど、地域医療提供体制の有力な担い手に位置づける考えも示された。 当初は、現行の特別・特定医療法人が対象となる。 したがって、法改正後は公益性を高めた医療法人と非営利性を徹底した医療法人の2類型が基本となるが、暫時、既存医療法人が存続する(別途、財団医療法人も存続する)。持分ある医療法人は、公益性を高めた医療法人や「拠出金制度」法人の動向を見ながら、その移行を判断することになる。 報告は、 (1)医療法人を民間非営利部門と位置づけ、医療法人全てに求められる規律を法で定めるとともに公益法人制度改革にも準拠した改革を行う (2)「公益性の高い医療サービス」を担わせるために、新たに「公益性の高い医療法人制度」を再構築する。 (3)厚労省や都道府県は今後、民間非営利の医療法人を中心に地域の医療提供体制を考え、その円滑な事業展開と効率的な経営を支えるという視点から医療法人制度改革をまとめた。 このうち(1)においては、「営利を目的としない」意味を、社団医療法人における社員の権利・義務を例に、ア)出資義務を負わない、イ)剰余金の分配請求を有しない、ウ)残余財産の分配請求権を有しない、エ)法人財産に対する持分を有しないことと、と整理した。 その上で、「営利を目的としない」医療法人すべてに求められる規律として、@医業経営の基本原則(理念)、A特別な利益供与の禁止、B剰余金配当(範囲を越えた経費支出)の禁止、C社団医療法人の社員資格、D理事・監事・理事会の役割、E財団医療法人の評議員会設置、F残余財産の帰属などで明確に定めることを検討課題に挙げた。 ただし、解散時残余財産の帰属先[国、地方公共団体、他の医療法人)を医療法で規定することに関して、既存法人には「当分の間、経過措置を設けるべきである」とした。 「当分の間」について、厚労省は、当初は「5年」という猶予を示唆したが、新たに「次の法改正まで」という解釈を示している模様。 報告において「出資金」を「拠出金」と置き換えたことについて、医政局指導科の担当官は、「医療法の理念に立つと、出資金よりは、配当既念を排除する拠出金によって活動原資が調達されると考えるほうが適切であり、公益法人制度改革の有識者会議報告にも沿う」と説明。拠出額は債務超過ではない限り本人の手に戻る。配当がつかないということだ」と強調した。 報告は、また、医療法人の規律を定める中で、社団における社員資格から営利法人を排除するとともに、社員総会における議決権についても、拠出額の多寡にかかわらず一人一票であるという考えを打ち出している。 「公益性の高い医療法人」の出現によって、公的とくに自治体病院に偏し、赤字経営のいいわけにもされてきた”政策医療”の基準透明化と民間との分担が実現する。報告は、都道府県に対して、直接の医療提供から撤退することを提起。その果たしてきた役割を民間に引き継がせるべきとしている。 そのために、指標を用いて「公益性の高い医療サービス」を客観的に評価するとともに、その内容を国として法律に位置づけ、都道府県レベルでも具体化できるなど、手順を明確化する必要を提起。同時に、その具体的な内容案を明示した。 ”政策医療”を推進する「公益性の高い医療法人」の規律は、すでに事務局案として検討会に示されてきた内容を踏襲しているが、昨年12月の当初案からは大きく緩和されたものとなった。 |