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明日の医業経営

Tomorrow's medical profession managementより抜粋
自治体病院経営と意識改革

 いま、自治体病院経営をとりまく環境は厳冬の中にある。自治体そのものの財政が年々悪化してきて、かつては潤沢に出されていた病院への繰出金が出せなくなってきているのだ。一方では、ここ20年の間に、民間病院や公的病院が、資金的にも、医療の質の上でもうんと力をつけ、強い競争相手となっている。かつては、CTやMRIなどは公の病院しか購入できない時代もあり、「公の病院が高度医療を担うのだ」という主張がまかり通っていたが、今後そんなことをいっていては、笑いものであろう。
 ところが、全国の自治体病院職員の中には「公立病院は赤字が出て当然だ」とか「医者が経営のことなど考える必要がない」とかいって病院の経営状態に無関心な人々が沢山いる。私は500床以上で各都道府県の中核的医療機関である県立中央病院クラスの病院を50選んで、昭和58年からベンチマーク方式で経営分析を続けてきた。それぞれの病院の経営ランキングは、この20年で大きく変わっているが、年々凋落の一途をたどっている病院は、職員の意識が古く、「親方日の丸」的感覚が強く残っているところである。
 私はこの12年間に3つの地方自治体で病院事業管理者として働き、7つの病院の経営に携わってきた。鹿児島市立病院、埼玉県立がんセンター、循環器・呼吸器病センター、小児医療センター、精神医療センター、川崎市立川崎病院、川崎市立井田病院がそれである。これらの病院は病院のサイズも、機能も、地理的条件も、周りの医療機関との関係もそれぞれ異なっており、一つの病院で成功した経営改善策が他の病院にすぐあてはまることはなかった。
 ただ一つの共通点は、職員が目を覚ませば病院の経営は良くなるということである。病院の職員ひとり一人が、如何にすれば患者さんが満足する医療を提供できるか、どうすれば病院の経営が上向きになるかを考え、診療科ごとに、あるいは職種ごとに経営改善策を自主的に出してくるようになれば経営改善は成功である。
 さて「馬を水辺に連れてくることはできるが、馬に水を飲ませることはできない」という諺がある。高学歴集団である病院職員に対し、どのようにしたら意識改革が起こるであろうか。私の経験では「百日の説法、屁一つ」であり、リーダーである院長が全力を傾注して病院経営に取り組む「後ろ姿」を見てもらうほかはないように思う。

川崎市病院事業管理者 武 弘道 詳しくは→こちら