病院事業管理者制度を普及させる
「病院事業管理者」という名称は、自治体病院以外の医療人には耳慣れない言葉と思われる。県立病院や市町村立病院の経営責任は法的には知事や市町村長にあるのだが、実際には役所の健康福祉部長や県立病院課長が経営の権限を握っている所が多い。その欠点として、これらの役職は平均2年位で交代するので、中長期的な将来計画を作って病院を長い目で育てるということが行われず、病院の現場を理解しないで朝令暮改の近視眼的施策が次々に下りてくるということが挙げられる。これらの欠点を正す組織のあり方として、近年、地方公営企業法の”法の全部”を適用して病院事業管理者を置くことが普及しはじめた。 自治体病院を「全適」にすると、任期4年の病院事業管理者が置かれる。地方公営企業法逐条解設によると、「管理者に任期を与えたのは、管理者に一定の任期を与えることによりその期間中政治的変動に影響を受けることなく、その身分を安定させて職務に専念することができるようにするためである」と書かれている。 病院事業管理者には、首長から次のような多くの権限を委譲される。 @内部組織の設置A職員の任免・給与等の身分取り扱いB予算の原案の作成C資産の取得・管理・処分D契約の締結E資金の一時借り入れF労働協約の締結ーなど。つまり、会社で言えば最高経営責任者(CEO)の立場で病院を経営・運用することになる。 私はこれまで、鹿児島市、埼玉県、川崎市と3つの自治体で病院事業管理者をとして8つの病院を経営してきたが、その経験から、自治体病院は病院事業管理者を置いた方が、激変する医療環境に速やかに対応し、効率的運用ができることがわかり、この制度を普及させることに努めてきた。 私が、自治体病院経営改善事例集に「地方公営企業法の全部適用の利点を生かす」という論文を書いた平成9年には、「全適」制度を採っているのは全国でわずか38団体、96病院に過ぎなかったが、平成17年には69団体、185病院と2倍に増えた。 昨年、長崎で開かれた第4回病院事業管理者の会において、この会に会則を定め、役員を選定し、会費を徴収して「全国病院事業管理者等協議会」の名称の下に活動を開始することが決定された。未だ「全適」を検討している団体の責任者も加入できる規則になっている。 平成18年4月には、茨城県、滋賀県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県、札幌市、函館市が事業管理者を置くことが決定されている。 国立病院が独立行政法人化し、その経営のあり方を大きく変えたのに比べ、自治体病では50年1日のごとく、同じやり方の病院も多い。病院経営を取り巻く環境は年々悪化している昨今では、自治体病院も事業管理者という経営責任者も事業管理者という経営責任者を置いて、企業体として動くべき時に来ていると考え、その普及を各地方自治体に働きかけている。 |