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| bQ255(2005.9.11) 社会保険旬報より抜粋 |
赤字病院・税金投入の多い2病院と1黒字病院が1市に合併・・・単純な一本化では・・・・
赤字2病院の改革は難しい。注目される黒字病院の独法化
全国で進められている市町村合併に伴い、地域医療に変革の波が押し寄せている。合併により、各市町村が開設する自治体病院のあり方が見直しを迫られているのだ。民間移譲、統合・サテライト病院化、縮小・廃止などの形態はさまざまだが、備前市では、市立二町の合併により一つの市に三つの市立病院が併存することとなった。体質の異なる3病院が今後どう存立していくか注目されている。
新備前市の3市立病院が、それぞれの努力により今後どのように併存していくか、一つのモデルケースとして注目されている。
いずれにしても努力している病院が報われるという図式は確保されるべきで、そうでないと自治体病院の明日は望むべくもないだろう。

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備前市 |
日生町 |
吉永町 |
| 名称 |
備前市国民健康保険市立備前病院 |
日生町国民健康保険町立日生病院 |
吉永町国民健康保険町立病院 |
| 病床数 |
一般100床 |
一般92床 |
一般50床 |
| 外来患者数 |
年間58,716人(1日平均238.7人) |
年間39,211人(1日平均159人) |
年間90,825人(1日平均309人) |
| 入院患者数 |
年間30,956人(1日平均84.6人) |
年間13,034人(1日平均36人) |
年間17,829人(1日平均49人) |
| 決算 |
医業収益 |
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入院収益 849,169千円 |
326,802千円 |
529,009千円 |
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外来収益 491,963千円 |
373,798千円 |
921,679千円 |
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その他医業収益 83,204千円 |
56,001千円 |
46,051千円 |
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医業外収益 425,989千円 |
45,183千円 |
13,275千円 |
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計 1,850,325千円 |
801,784千円 |
1,510,014千円 |
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職員給与費 856,620千円 |
407,560千円 |
631,117千円 |
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材料費 283,516千円 |
286,348千円 |
444,816千円 |
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269,532千円 |
117,738千円 |
305,497千円 |
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医業外費用 416,809千円 |
10,945千円 |
10,314千円 |
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計 1,825,477千円 |
822,591千円 |
1,391,744千円 |
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特別利益 0千円 |
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特別損失 9,872千円 |
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当年度純利益 14,976千円 |
△20,807千円 |
118,270千円 |


(50床、常勤職員70人、新名称=備前市国民健康保険市立吉永病院)
吉永町はJR山陽本線沿いにある人口5300人の四方を山で囲まれた町。町内には信号機が4基あるだけで、コンビニも数年前にようやくできた。しかし町では企業誘致を積極的に行ったため、昼間の労働人口は2千人を越える。
このため人口は40年前からほとんど減少していない。現在の高齢化率は24%である。
同病院の発足は昭和31年に遡る。3床の診療所から昭和38年に26床の吉永町国保町立病院となった。54年に40床の鉄筋コンクリート3階建てに全面改築、その後増築し現在の50床の病院となった。
荻野建次院長は昭和55年9月に岡山大学外科から病院立て直しの意を受けて就任。”田舎の町にミニ総合病院を創ろう”とのキャッチフレーズのもとに経営刷新に着手した。25年を経た病院の現況は専門医を非常勤で広く採用し、人口透析も行い10科余りの専門外来を設置した。常勤医がフォローする診療体制で最新の医療を提供し、町外への患者の流出を極力防いできた。
主な工学医療機器としてはMRI,ヘリカルCT,心エコー(2台)、エコー6台、マンモグラフィー、デジタルX線連続撮影装置、オートアナライザー、骨塩定量測定装置、前立腺高温治療装置などかなりの重装置だ。
手術もがん、大腿骨頚部骨折手術をはじめ、心臓と脊髄以外の手術はほとんど実施。年間手術実績は200例に及ぶ。
病床数に比べた職員配置も多く、その中には臨床工学技士が2人、理学療法士が5人、作業療法士が1人、言語聴覚療法士も1人いる。
地元に密着した病院という考え方に徹し、患者のニーズにできるだけ応えることが運営方針である。土曜日診察もしており、夜間も9時まで外来を開く。日祭日も積極的に診療し、仕事で昼間受診できない人への便宜を図っている。
表7 公立病院繰入金調べ(平成13年度)
| 病院名 |
ベット数 |
1日当たり平
均外来患者数 |
総収益 |
繰入金 |
総収益に占める
繰入金の割合 |
| 備前病院 |
100 |
245 |
2,266,500 |
134,551 |
5.94% |
| 日生病院 |
92 |
174 |
834,605 |
100,000 |
11.98% |
| 吉永町立病院 |
50 |
287 |
1,507,980 |
34,000 |
2.25% |
こうした時間外診療を重視しているほか、データやカルテチェックで異常データを早く発見する努力も同病院の特徴の1ついえるだろう。その結果、外来患者数も伸びて、最近では1日平均330人を超えている。


深夜・休日でも重症患者があれば岡山市の自宅からかけつけるという荻野院長。闊達な人柄と医療姿勢もあって地域住民の病院への評価は高い。吉永町民の83%が受診している。
人件費比率50%以下に抑え、検診事業にも積極的な取組み、経営面も極めて好調だ。医療体制全般の整備、リハビリやデイケアなど介護部門の強化などが相まって、現在の利益剰余金は15億円に達している。機器の購入やデイケアセンターの整備も起債せずに行ったという(企業債残高は1億円のみ)。病院は25年間黒字経営で繰入金額の低さは全国でもトップクラス(表7参照)、自治体病院優良病院表彰を2回受けている。
荻野院長は「病院が地域住民に信頼されている実感があります。これまでのように病院は医療だけやっていればいい時代は過ぎました。地域包括ケアの実践はもとより、雇用面や町づくりに関与し、住民の安心、快適な生活、町の活性化に病院が担う役割は大きいはずです。」
同病院にも今後に向けた大きな課題がある。国保直診を継続しつつ独立行政法人化(公務員型)することを目指している。
今後も医療を取り巻く環境は悪化の方向あり、公立病院の経営は厳しさを増すと予測される。その際の経営改革手段として公営企業法の全部適用か地方独立行政法人化が考えられる。新備前市の場合、機能や診療時間等体制の異なる3病院併立という状況があるが、職員のモチベーションをあげるため、同病院としては地方独立行政法人化が最も適切かつ不可欠な選択としている。そして旧町長、町議会、執行部、病院職員等の支持を得て将来をかけて協力に推進しつつある。
森(前)町長も「この病院のすばらしさは常々実感してきた。自治体病院が行政に甘える時代は終わった。よいリーダーのもとで独立独歩でゆくべきだろう」と語っている。
「めざせ日本一健康な町」の旗印を、さらに高く揚げるためにもより質の高い医療を自主性をもって進めるためにも、同病院にとって地方独法化は悲願とすらいえそうだ。
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