

17年1月大分市と合併、新病院発足後1年を経過し、落ち着きを取り戻した。
佐賀関町病院の民営化は住民、病院、病院職員の3者いずれにも、メリットがあった。
病院職員の給与体系は調査Eのとおりであったが、今後は、努力した人が報われるようになることは確実であり、公平な給与体系になっていくはずである。
多くの自治体病院が、組合との長く、厳しい交渉を進めていくことになるが、佐賀関町を参考にして、3者が共にメリットのある開設主体の実現に努力してほしい。
| 調査日等 |
平成16年6月18日(金)午前9時から |
| 調査場所 |
佐賀関町役場・町立病院・町消防署・保健福祉センターひまわり
佐賀関高校・中学校2校・その他 |
| 調査内容 |
合併協議条件・対処策・財産と債務の処理・新市の中での展望他 |
| 概要 |
佐賀関町立国保病院の前身は、旧陸軍病院で昭和21年町立として内科・外科・耳鼻科で20床スタート。産婦人科を加えて、昭和37年に50床、整形外科を加えて同57年に一般病床86床としている。昭和62年、日本鉱業製錬所病院(79床)と統合、内科・外科・整形・産婦人科・耳鼻咽喉科・歯科の「新生・佐賀関町国保病院/130床」。平成に入り、胃腸科・循環器科・眼科・肛門科・理学療法室に加え、訪問看護科小児科・院内保育所・定時定温給食・在宅看護支援センター・療養型病床20床・介護事業(訪問介護・看護、通所介護、居宅支援)・人口透析も開始。平成12年度からは黒字経営に転換できている。 |
@大分市の前提条件とその背景
大分市は、市立病院・市立高校を持たない方針で来ている。財政の重荷になる事業には手を出さない伝統を堅持。「市立病院とする考えはないので、町の責任で決着すること」が合併協議の前提条件。「見合い前の注文」と言う。
県庁所在都市で人口45万人都市と、人口半減の佐賀関町13,000人(最大時26,000人)。
A佐賀関町の基本的スタンス
平成9年に病院建設用地確保の公有水面埋立免許申請を完了し、老朽化した病院施設(S34築)の新築移転計画と、併行して合併協議が本格化したことによって、病院新築に係る補助金等の取り扱いを含め複雑な状況下で作業が進められている。
町は、平成14年9月、町方針を公設民営として、10月に病院建設実施設計に着手し、平成14年9月、町方針を公設民営として、10月に病院建設実施設計に着手し、平成15年1月には病院建設補助金要望書を国県に提出、3月議会では、建築予算21億円を上程、4月に国の内示を得た。
しかし、大分市から病院建設の同意がもらえず、7月に建設を断念、前町長は平成15年8月に辞任している。
合併協議を進展させるため、9月議会で民営化の方向を決定。
新町長着任の10月から本格的に組合と協議再開、11月に組合の合意に至る。
12月に、病院設置条例廃止議案が可決、平成16年6月末で現病院廃止。7月から民営の病院として、新たなる出発をするとしている。
B佐賀関町住民の理解度
日本鉱業製錬所の企業城下町として栄えた時期(社員 2,500人、関連住民10,000人)もあったが、今は寂れる一方だという。人口も半減し児童生徒も減少の一途、小中学校、県立高校の廃校も近い状況と嘆く。住民アンケートでも、9割以上が大分市との合併を望むという結果がでている。
病院の経営に関しても、昭和62年に企業病院(民間)と統合した経緯があり、スタッフの50%は民間出身であることも影響するのか、同じ医者、同じ看護師が診療してくれれば、公営・民営の区分けは感じていない模様。それよりも、職員の身分保証の為に、合併が阻害されることの方が問題視される。
D医師の派遣系統、医師の体制
院長は九州大学医学部第2外科有名教室系。その他では自治医大卒の医師受入れ病院として定着している。今回の経過の中で、自治医大出の副院長が医師団を形成し民営化の受け皿となるが、院長は退職し近隣市の病院長に転身した。
E医師・看護婦・医療技術者・医療事務等の給与体系
医師は別として、他の職員は行政職1表を適用しており、民営化になると平均で30%ダウン、特に看護師の中には40%ダウンとなる者もいるという。
F福祉・医療・保健の連携ネットワークの現況
前段説明のとおり、保健福祉総合センターを病院直轄で運営し、訪問看護・訪問ヘルプ・ディサービス365日体制・保健センターなるものと病院が一体的に総合運営されており、素晴らしい体制がとられている。
介護事業で1億6,750万円の収入は病院経営にも大きく貢献している。
病院の病床稼働率も、90%以上を確保している。
G労使交渉の経過概要
公設民営化の方針を出した時(平成14年9月)から、職員組合等と協議を始める、平成15年4月からは理解を求めて更に協議、新町長着任の10月からは本格化し、休みなし、徹夜の真剣協議が続いた。「自治労」系の組合。県本部も張付いての協議だったという。平成15年11月、職員組合の合意を得た。
I民設民営に対する支援措置の状況
国保病院を引継ぐ団体(副院長医師団)への支援として、
現病院の保有する資産(病院建物施設・医療機器・車両・薬品等)の無償譲渡、
新病院建設町有土地(公有水面埋立て許可地)の一定期間無償貸与(10年間)。
現病院の解体撤去費用、新病院の建設費用は新医療法人負担で合意。
銀行の判断は、現に黒字経営病院患者等を保有しており、新規開業新規患者の開設ではないため、融資は十分に対応する。
J病院にかかる財産の譲渡手続き等
平成15年12月 病院廃止条例 可決(施行期日へ医政16年7月1日)
平成16年03月 病院医療機器等の財産譲渡議案 否決
平成16年05月 臨時議会にて、病院医療機器等の財産譲渡可決
K佐賀関町の財政状況等
税収は、平成10年度に13億円近かったが16年当初は9億2,800万円、交付税は、平成10年度に21億8,000万円、交付税は、平成10年度に21億8,000万円だったものが16億円と、何れも大幅に落ち込んでいる。
地方債の残債額は14年度末・15年度末では共に65億5000万円であるが、平成16年度には退職手当債7億5,000万円、地域再生債5億円を発行予定で、16年度末残高は76億円程度と見込んでいる。
一方、財政調整基金・減債基金は全額(両者計約4億7,000万円)を取り崩して、合併に係る経費に充当している。
L合併後の地域振興拠点・住民サービス拠点の状況
合併後、当分の間は現体制でいくとしている。しかし、既に大分市と合併した旧坂ノ市支所が16〜17人規模であり、距離が遠いことを加味しても相当縮小した体制にに移行することになる。現在、140〜150人のうち52歳以上の職員が50%に及んでおり、5〜6年の間に、自然に大幅減少するはずであるという。
他に、特殊事情として町単独で消防本部を置き、30人規模の常備消防を運営している。消防経費総額は2億7千万円程度。合併後は出張所(消防車1台)ではなく、分署として現体制を維持できる見込みである。
 |
◎経緯
| H14.12 |
病院建設に係る設計委託業務入札 |
| H15・1 |
医療施設近代化施設整備補助金申請 |
| H15・3 |
病院事業会計当初予算に病院本体工事費計上
大分市との任意合併協議会を設置
大分市は公立病院を所有しない意向
→合併協議で病院建設の結論が出るまで本体工事予算凍結 |
| H15・6 |
病院事業起債申請 |
| H15・7 |
「民設民営を基本に最大限の努力」表明 |
| H15.8 |
民営化後の受け皿となる医師団を選定(町職労とは合意できず) |
| H15.9 |
医療施設近代化施設整備補助金申請取り下げ |
| H15.11 |
病院廃止について、町と町職労で基本合意 |
| H15.12 |
病院設置条例廃止議案可決 |
| H16.3 |
法定合併協議会設置 |
| H16.6 |
現病院廃止 |
| H16.7 |
新病院開設 |
| H17.1 |
新市発足 |
|