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| 持ち分のある社団医療法人の剰余金の帰属先は、出資者個人ではなく、法人に帰属する−。厚生労働省がこうした趣旨を医療法で明記する検討に入ったことが、議論の的になっている。厚労省は「50年前の制度創設時の理念に戻す」と勇ましいが、医療法人の剰余金はこれまで出資者に帰属するものとして課税されてきた経緯がある。「剰余金が出資者に帰属しないとするのは、財産権の侵害で憲法違反ではないか」との意見も出てくるなど、議論百出の様相を呈してきた。 |
| 「剰余金は最初から個人には帰属しない。医療法人の創設時から、出資持ち分ではなく、拠出金という発想だった。それがいつしか、持ち分が株のような形になってしまって、誤った方向に行ってしまった」。25日に開かれた社会保障審議会医療部会で、日本医師会常任理事の三上裕司氏は、同省の決断を支持した。 同省医政局の谷口隆指導課長も「医療法人は非営利組織という考え方は、制度創設以来のもの」と述べ、剰余金の帰属先が医療法人であることを明確化する意気込みを示した。 厚労省の描く医療法人改革の青写真は、「剰余金は法人に帰属する」ことを医療法で明記することで、すべての医療法人の非営利生を徹底させ、その上でさらに高いハードルを越えた法人については、認定医療法人として税制優遇などの特典を与えようという二階建て構想だ。 一階建て部分の医療法人は、法改正で剰余金の帰属先が医療法人と明確化されることによって結果的に、昨年モデル定款が策定された「出資額限度法人」と同様の趣旨を持つことになる。 「公的病院と変わらない医療を提供しているのに、公的病院っだけ非課税なのは理不尽だ」と言う有力医療法人の経営者は多い。現場からのこうした声の高まりが、認定医療法人創設のきっかけとなった面もあった。 三上氏も検討会の席上、「医療法人はそもそも、公益性の高い仕事をする医師を持った人が集まってできた組織だ。医療では、利益はなかなか出ないが、少しでも出た利益はまた医療に回す、というのが本来の趣旨」と述べた。 |
| しかし、こうした法改正の方向に疑問を投げ掛ける意見もある。 深沢綜合法律事務所の堀克巳弁護士は、本誌への寄投稿文の中で、「解散時の残余財産を出資持ち分に応じて出資者に分配しても、すでに公益目的が終了したのであるから、非営利性の障害としてことさら論じる必要はない」とした上で、「医療法の改正や行政指導で全医療法人を出資限度額法人としてしまうことは、財産権を国家が奪うことになり、憲法違反と考えられる」と述べている。 医療法人改革について議論している厚労省の「医業経営の非営利性等に関する検討会」委員の品川芳宣元高松国税局長も、同検討会で「税金の問題を考えるだけでも大変で、ここまでドラスチックに変える必要があるのか不安だ」と発言している。 医療法人創設時に立ち返って、医療法の条文を改正し、これまでのねじれを一気に清算するのか、それとも、税制面との関係で、何らかの次善の策へと落ち着くのか。来月10日に開かれる非営利性検討会が最大のヤマ場となってきた。 |