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病院が外来機能を分離して隣接地に診療所を設置する「外来分離」。急性期病院の収益アップの決め手として、 外来クリニックの設置に踏み切る病院が増えている。ただ、その一方で経営の現場では、2006年の診療報酬改 定で何らかの規制が加わるのではとの憶測が飛び交っている。こうした中、06年改定の基本方針を審議した24日 の社会保障審議会医療部会で、外来分離の規制が話題となった。 ◎地域支援病院の取り消し 「門前クリニックを設置して紹介率要件をクリアしたような地域医療支援病院は、承認を取り消すことも検討すべ きではないか」 村上信乃委員〈日本病院会副会長)はこう延べ、外来分離をした病院が地域医療支援病院になることに対して不 快感を示した。松井博志委員(日本経団連国民生活本部長)も「門前クリニックは診療報酬のゆがみから生じた結 果だ」と指摘した。 外来分離が規制の対象としてやり玉に挙がるのは、紹介率が急上昇するなど経済的メリットがあまりにも大きい からだろう。 紹介率の計算式は「文書による紹介患者数」と「救急車で搬送された患者数」の合計を「初診患者数」で割った数 値だ。大雑把に要約すると、紹介率とは初診患者数に占める紹介患者数の割合である。 外来クリニックからの紹介患者は「紹介患者数」としてカウントできないため、分子の「紹介患者数」の上積みには ならない。ただ、これまで病院の外来に通っていた患者が隣の外来クリニックに移るため、分母の「初診患者数」が 激変する。 割り算の計算では、分子に変化がなくても分母が小さくなれば、答えとして出てきた数字は大きくなる。 紹介患者を増やさなくても結果的に紹介率が向上するという「数字のマジャック」がここにある。 紹介率が上昇すれば、急性期入院加算に手が届くほか、「入院外来1対1.5」という厳しい要件のある急性期特 定入院加算の算定も夢ではなくなる。 もちろん、地域医療支援病院の紹介率の要件もクリアでき、地域医療支援病院入院診療加算の算定も可能とな る。 さらに、200床以上の病院では算定できない生活習慣病指導管理料や特定疾患療養指導料もクリニックなら算 定できるし、初診科も病院より高い。 実際に外来分離をした病院経営者らによると、外来分離によって年間数億円の増収が可能となり、外来クリニッ ク開業に伴う設備投資費用などもすぐに回収できてしまうという。 住宅密集地にあるような病院の場合、土地確保が難しいことから外来分離に踏み切れないケースも多い。 地道な逆紹介を通して外来患者の縮小に努力している病院にしてみれば、数字のマジックによる経済的うまみは 不公平に映る。 ◎ 機能面のメリット強調 外来分離をした病院の関係者らは、これまで外来で使っていたスペースで救急を充実させるなど、経済面ではなく 機能面でのメリットを強調するが、「経済的うまみは次の改定までだろう」と腹をくくる経営者も中にはいる。 では診療報酬で規制するとなると、どのような規定が考えられるのか。この日の医療部会が了承した「2006年度 診療報酬改定の基本方針」には、「病院・診療所の機能分化・連携を推進する観点から、病院と診療所の初再診 料の格差の問題など、外来医療に対する評価の在り方について検討するべき」との記載はあるが、外来分離につ いての具体的な記述はない。 考えられる規制の手段としては、紹介率の数字のマジックに対して「病院の初診患者数は外来クリニックの初診 患者数も合わせた数字とする」と規定する方法がある。 診療報酬点数については、「病院と特別の関係にある診療所の保険点数は病院と同一にする」などと規定するこ とが考えられる。 今のところ外来分離の規制に関しては中医協では表だって話題となっていないが、この日の医療部会での議論 が呼び水となる可能性もある。依然として予断を許さない。 |