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寄稿 出資額限度法人の課税関係
東日本税理士法人 税理士 吉田久子
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●出資額限度法人(医療法人)に関する質疑応答事例について

              
              (2005年7月28日国税庁審理室情報第2号)

現行制度は使えない・・・・・

第5次医療法改正に期待

【問3】2004年6月16日付文書回答によれば、出資額限度法人が特定の同族グループによって支配されているかどうかの判定に当たり、役員(理事・監事など)のそれぞれに占める親族の数が3分の1以下であることが定款で定められていることがひとつの基準として示されているが、6人の理事のうちの1人が死亡退社したことにより、親族の割合が6分の2(3分の1以下)から5分の2(3分の1超)になってしまう場合がある。この場合、新たな理事を選任して要件を満たすことになったとしても、退社時には特定の同族グループによる支配がされているとして、残存出資者に贈与税の課税関係が生じることになるか。

【国税庁の回答】一時的に役員に占める親族の割合が3分の1を超えることになったとしても、定款の定めに従って、すみやかに新たな役員が選任されて基準を満たしたときには、それだけをもって残存出資者に贈与税の課税が生じることにはならない。


【吉田税理士の回答】出資額限度法人である医療法人の出資社員が死亡して払戻請求権を行使した場合、原則として残された残与社員にみなし贈与課税がされる。
 下の図を見ていただきたい。その出資額限度法人である医療法人の出資者が3人であったとしてAが亡くなったとする。
 相続人はAが出資した100万円だけの払戻しを請求した場合、本来、出資持分の評価が2000万円であったならば、2000万円と1000万円との差額(剰余金部分)は、どうなるのであろうか?
 それは現在の制度では、残りの出資者であるBとCに移転したとみなして、つまり贈与がされたものとみなして、みなし贈与課税がされるのである。
 ただし、みなし贈与が生じない要件をすべて満たせば、みなし贈与は課税されない。その4要件とは@同族出資割合が50%以下 であることA同族社員割合が50%以下であることB社員などの同族割合が3分の1以下と定款で規定し、かつ実行していること、C役員などへの特別の利益給与がないことーである。
 これらを1つも欠けることなくすべて満たせば、みなし贈与課税は生じないということとなる。
 上記の質問はこれらをすべて満たしているという前提でBが一時的に欠けた場合、どうとらえるのかという問題提起らしい。
 答えとしては、たとえ欠けたとしても一時的なものであれば、要はすぐに満たせば、Bが欠けているからという理由でみなし贈与課税をすることはないというものである。

〈みなし贈与課税について)

 

●4要件クリアはほぼ皆無
 
一見、国税局にしては順応な対応に感じる。しかし、そもそも、みなし贈与が生じない4要件を満たした医療法人は皆無に近い。4要件を満たすために、出資割合を変えようとすると、前々回の質疑応答事例の問1のように課税がされてしまうのである。
 今回のQ&Aは、かなりレベルの高い基準というか、つまり絵に「描いたもち」のようなQ&Aであって、その前提条件を満たしていない一般の医療法人には、あまり意味のないQ&Aである。
 ただ、特定医療法人などもBとCの要件はあるので、それらを運営する上では参考になるQ&Aであるということが言える。
 今回、国税庁の回答により3つの取り扱いが明らかにされたわけであるが、ますますもって、今の出資額限度法人制度は使えない制度というのが明らかになったように感じる。
 第5次医療法改正で出資額限度法人が今後使える制度として定着することを期待するしかないようである。
 〈参考〉「医療法人のための出資額限度法人制度」中央経済社 吉田 久子著

Q&A 出資額限度法人

日本税理士会連合会 編  吉田久子 著  中央経済社 発刊
出資額限度法人制度の概要及び課税関係、設立・移行の仕方、出資額限度法人の活用方法を書いた一冊。概要編、設立編、応用編、実践編で構成されている。

日本税理士会連合会会長 森 金次郎氏 からのコメント

目次(各章のタイトルをクリックすると詳細な目次が表示されます)
はじめに
第1章 出資額限度法人の概要編
第2章 出資額限度法人の設立編
第3章 出資額限度法人の応用編
第4章 出資額限度法人の実践編
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出版社:中央経済社 http://www.chuokeizai.co.jp/