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寄稿 出資額限度法人の課税関係

国税庁通達を読む
東日本税理士法人 税理士 吉田久子
Japan Medicine10.19

いったん払戻し再出資
相続人の税負担軽減なし



出資限度法人(医療法人)に関する質疑応答事例について
(2005年7月28日国税庁審理室情報第2号)
【問2】 2004年6月16日付文書回答によれば、社員の死亡退社に伴い、被相続人の出資に関する出資払戻権を取得した相続人が現実に出資払戻額の払戻しを受けたときには、出資払戻請求権は出資払込額により評価することとされている。そこで、相続人がいったん出資払込額の払戻しを受け、その後あらためて同法人に出資して出資持ち分を取得するとすれば、相続税の課税上は、出資払戻請求権は払込出資額により評価することになると理解して差し支えないか。

【国税庁の回答】 あらかじめ出資持ち分を取得することを予定して払い戻しを受けていると認められるような場合には、実質的には出資を相続したものと同様であることから、出資としての価格により評価されることとなる。




【吉田税理士の解説 下表の相続人の課税関係の欄を見ていただけると分かるように、出資額限度法人の場合、死亡した出資社員の相続人が、その持ち分をどうするかによって課税関係が変わってくる。
例えば、Aさんの相続人である親族が出資持分を相続してその医療法人を継続して運営していくのであれば、出資持分は時価で評価され、莫大な相続税が発生する可能性がある。
 一方、Bさんの相続人が出資持ち分について払戻しを受ければ、その払戻出資額のみが相続税の課税価格となる。
 設立時に1000万円を出資し、死亡時の時価が2億円になっていたとしたら、Aさんの相続人のように持ち分相続を選択すると、2億円に対し相続税が課税され、Bさんの相続人のように払戻しを受ければ、1000万円に対してのみ相続税が課税されるのである。
 そうなると、とりあえず払い戻しをして相続税を低く済ませ、後で追加出資するという考えを持つ人も出てくると考えられる。その場合にどうなるかというのが、今回の回答である。
 出資持ち分をそのまま相続しても、一度払い戻しをした後で出資したとしても、結局、同じ結果になるにもかかわらず、課税関係のみが変わるのは不合理であるという理由で、後者の場合であっても、時価により課税しますということである。
 つまり払戻しを請求した場合においても、1000万円ではなく2億円に対して相続税が課税されるのである。




<出資限度額に係る課税関係〉


 移行時  出資者の脱退 出資者死亡・払戻し有り 出資者死亡・持分相続
医療法人 課税なし  課税なし  課税なし 課税なし
 他の出資者 課税なし   原則課税  原則課税 課税なし
出資者  課税なし  課税なし
相続人 払戻しを受けた金額のみ
課税
財産評価基本通達
194−2により課税




〈例1〉Aさんの相続人はAさんの出資金(1000万円、時価2億円)を持分相続し、理事長になる。

結果 Aさんの相続人→2億円が相続税評価額
    他の出演者 →課税なし

〈例2〉Bさんの相続人はBさんの出資金(1000万円、時価2億円)を持ち分相続せず、払い戻しする。

結果 Bさんの相続人→1000万円が相続税評価額
    他の出資者→みなし贈与課税

※ 例2の場合でも、Bさんの相続人が払い戻しをした後に再びその医療法人に対して出資した場合は、1000万円ではなく2億円に対し相続税が課税される。