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Japan Medicine 2005・10・14抜粋
2005.10.14
「空飛ぶER(救急救命室)」とも言われるドクターヘリ。欧米主要国では都市部・山間部を問わず国内全域で配備しているところが多く、重篤な救急患者の救命に活躍している。こうした中で、ようやく日本でも、数年前から厚生労働省が導入促進事業を開始したが、運営主体となる地方自治体の経済事情もあって、その普及は遅々として進んでいない。昨年度までの段階で、導入しているのはわずか7県にとどまっている。しかし、世界ではすでにドクターヘリの有用性は実証済み。日本でも運用している県の救急・行政関係者からは、その有用性が高く評価されるようになっている。
●運用県で高い評価/新たに北海道、長野県でも導入
ドクターヘリとは、消防機関・医療機関などからの要請に基づいて出動し、患者を救急現場から病院に搬送するまでの間、患者に救命医療を行うことのできる専用ヘリコプター。中型の消防・防災ヘリより小型のため、機動性に富み、機内には人工呼吸器、電子的除細動器、超音波診断装置、緊急気道確保セットなどの医療用具と、緊急時に必要な薬剤が積載されている。通常は救命救急センターに常駐し、出動時は救急医と看護師が同乗して機内で救命措置を行う。
欧米では1970年代から整備が開始され、先進国のドイツではすでに年間出動回数は6万回以上に達している。またスイスでは、REGA(スイス航空救急隊)により、国内どこでも15分以内にドクターヘリを派遣することができる体制が整備されている。
他方、日本では制度的なインフラ整備の遅れもあって、ドクターヘリの導入が始まったのはほんの数年前。98年に法改正で、ヘリによる救急業務が法的に位置付けられたことを踏まえ、99年度から厚労省が「ドクターヘリ試行的事業」を開始した。 この事業は2年間で、川崎医大付属病院高度救命救急センター(岡山県)と東海大医学部付属病院救命救急センター(神奈川県)が参加。その事業成果を受けて、01年度からドクターヘリの導入促進事業が全国的に開始された。
導入状況は、01年度=岡山県(川崎医大病院)、静岡県(聖隷三方原病院)、千葉県(日本医大千葉北総病院)、愛知県(愛知医大病院)、福岡県(久留米大病院)の5県、02年度=神奈川県(東海大病院)、和歌山県(和歌山県立医大病院)の2県、03年度=静岡県で2機目(順天堂大伊豆長原病院)となっており、なかなか普及しない状況が続いている。
最大の要因は、1機当たり年間2億円弱を要する運航費用。現在の導入促進事業は国が運航費用の半額を補助する仕組みだが、財政赤字に悩む地方自治体にとってはなかなか導入に踏み切れない理由となっている。
ただ、運用県では救急・行政関係者の評価は高く、今年度からは新たに北海道、長野県でもドクターヘリが導入されている。航空機による救急救護搬送システムの確立や普及を目指している日本航空医療学会や特定非営利活動法人「救急ヘリ病院ネットワーク」などの救急医療団体でも、ドクターヘリ普及の必要性が提言されており、今後、災害医療への応用も視野に入れると、その普及に弾みがつく可能性は十分ありそうだ。