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厚生労働省は10日、現行の医療法人制度を、出資持分がなく公益性の高い医療法人(認定医療法人)と、出資持分はあるが払い戻しは出資額を限度とする法人の、2階建てによる新制度とする方針を固めた。ただ、全体の98%を占める現在の持ち分のある社団医療法人が、第5次医療法改正で一気に新制度に移行することに関しては、憲法で保障された財産権の侵害にあたる可能性や、税制面での整理が必要なことから、一定の経過期間を設ける。当面は、現行の持ち分のある社団医療法人を最下層とする3階建ての制度を存続させる考えた。
同省医政局は「医業経営の非営利性等に関する検討会」に提示した「今後の議論のたたき台 修正案」の中で、新制度の概要を示した。
新制度への移行に関連して、大きな焦点となるのが、医療法人の剰余金が出資者個人に帰属するのか、それとも医療法人に帰属するのか、という問題だ。
修正案では、「医療法人の剰余金は従来から医療法人に帰属する」とした上で、「医療法関係法令または通知などを通じて周知することとし、社員の退社時に出資額に比例して剰余金が分配されないようにするものとする」とした。
◎必ずしも法改正にこだわらず
前回のこの検討会で提示された「今後の議論のたたき台」では、剰余金が医療法人に帰属することを、「医療法関係法令上、明確に位置付ける」としたが、今回の修正案では、医療法の改正にこだわるのではなく、政令や通知で周知する方法についても検討する方向性を示した。
医療法人の剰余金が出資者ではなく、医療法人に帰属することが明確化されれば、法人を退社した社員(民法上の社員)が出資持分の払い戻しを請求したとしても、剰余金部分まで払い戻す必要がなくなる。
つまり、剰余金が医療法人に帰属することを明確化することによって、結果的に、すべての持ち分あり社団医療法人が、払い戻しを出資額限度とする医療法人に自動的に移行してしまうことになる。
さらに「修正案」では、医療法人が解散した際の残余財産の帰属先について、「他の医療法人、国または地方公共団体でなければならないことを医療法上規定する」とした。剰余金だけでなく、解散時に残った財産についても出資者個人に帰属しないことを医療法で定める方針を示したわけだ。
◎新制度で経済界の批判かわす
こうした新制度が実現すれば、「出資者への払い戻しの際に、出資額に応じて剰余金部分も払い戻しされるのは形を変えた配当であり、配当禁止を定めた医療法54条違反だ」とする規制改革・民間開放推進会議側の批判をかわすこともできる。
ただ、課税当局は、剰余金が出資者に帰属するものと解釈してきた経緯がある。これまで、出資額に比例した剰余金部分も含めて相続税などが課税されてきた。
さらに、この日の検討会で日本医療法人協会の豊田堯会長が、「医療法人の出資は退社時の解散時の出資に応じた払い戻し請求権を含むために、出資者の財産といえる。医療法の改正によって、一律に新制度に移行すると、改正法は憲法違反と判断される可能性がある」と指摘している。
厚労省の「修正案」で、必ずしも法改正を伴わないとする含みを持たせ、一定の移行期間を設けた背景がここにある。
修正案ではこのほか、「約4万におよぶ現行の医療法人が、新制度の施行前にすでに設立されている医療法人に対しては一定の経過期間を設け、経過期間の間に自主的に新制度へ移行できるようにするものとする」とした。
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