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自治体病院改革
2005年5月25日
Japan Medicine
全適に官僚主導の排除不可欠
 総務省の地方公営企業経営アドバイザーで、公認会計士の長隆氏(東日本税理士法人代表社員)は20日、東京都内で開かれた全国自治体病院協議会の管理者研修会で講演した。同氏は、自治体病院の経営責任の明確化に向けて移行が増えている地方公営企業法の全部適用(全適)について、「本庁の官僚主導体制の思想を変えない限り全適は成功しない」との認識を示し、制度が生かせる環境整備の重要性を強調した。


 予算や人事の権限を首長から事業管理者や病院長へ移す全適は、自治体病院の経営改革手法の一つとして注目を集め、現在180を超える病院で導入されている。ただ「2003年度の調査では、全適病院の経営は一部適用病院と比べて必ずしも良いとはいえない状況」(小山田惠・全自病会長)だという。
 長氏が委員長を務めた「名古屋市立病院経営改善推進委員会」では、市立病院事業を05年度中にも全適へ切り替えるよう近く提言する。長氏は全適が成功しない原因として、@知事や市長のリーダーシップの欠如A本庁が人事と予算に実質的に介入B業績評価に踏み切れない―を列挙。
 その上で同委の提言の確実な実践には、副院長時代から簿記や決算書の見方など経営の基礎を学んでおくことや宮城県のように一般会計繰り入れ基準の事前公開と事後評価などが不可欠だとして、「今日、明日からでもやるべきだ」と即時対応を求めた。
 名古屋市は、市立5病院を中核的病院とサテライト的病院とで構成するグループに再編する計画だ。この計画に対して長氏は、「市立病院と市立大学病院を一体的に経営しないと優秀な医師をそろえることはできない」と述べ、少なくとも中核的2病院と市立大学の一体的経営が不可欠だと主張。しかし同委の提言内容には盛り込まれなかったと残念がった。
PFIに重大懸念
長氏はまた、昨年総務省がまとめた「地域医療の確保と自治体病院のあり方等に関する検討会」の報告書で、自治体病院再編のモデルとされた山形県置賜地域について、「あらゆる点から見て評価できない。これをモデルにして医師不足は解消できない」と切り捨てた。
 その理由については、再編病院群の開設者となる一部事務組合に県が出資し、「経営破たんの状態」にありながら一般会計から毎年巨額の繰り入れを行っていると指摘。また、サテライト施設では慢性的な医師不足状態にあり、当初のもくろみ通りの病院群間での機能分化が進んでいない、などと問題意識を示した。
 長氏は自治体病院を対象とするPFI方式についても言及。PFIは民間の資金やノウハウを公共事業に活用する趣旨でありながら、一般会計からの繰り入れが「不透明」なまま行われているとして、「重大な懸念を持っている」と警告した。