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JAPAN Medicine 2005/11/14
 改正要望から読み解く
特定医療法人の税制の行方

東日本税理士法人 税理士 田村 信勝

(1)
「公益性高い医療」は非課税

税制上、公益法人に近づける

◎特定医療法人とは


現在、2006年度の税制改正について議論されている。厚生労働省の2006年度税制改正要望の中に「公益法人制度改革を踏まえた特定医療法人の見直しに係る税制上の所要の措置」という要望が新規に設けられていた。
そこで今回から4回にわたり、この税制改正の要望について解説する。

 
 

まず税制改正の内容に触れる前に、特定医療法人制度について確認しておく。特定医療法人とは、租税特別措置法第67条の2に定める国税庁長官の承認を受けた医療法人のことをいう。
 この特定医療法人は、公益性の高い医療法人として一定の要件を満たす必要があるが、法人税率が一律22%に軽減されたり、出資持分に対する相続税が非課税になるなどの優遇措置がある。(通常の医療法人との比較については
を参照)。
 特定医療法人は公益性の高い医療法人である必要があるが、税制上、公益法人と同じ取り扱いになるわけではない。今回の税制改正要望は、この特定医療法人を税制上、公益法人に近づける内容となっている。

◎非課税の医療保健とは


医療法人は税制上、株式会社などと同じ普通法人としての取り扱いを受けている。よって、法人のすべての活動から生じた収益と費用を基に利益を算出し法人税を納めることとなる。
 今回の税制改正要望は、公益法人の収益事業課税に近い考え方を取っており、特定医療法人が営む医療保健業のうち、公益性の高い医療保健業については法人税を非課税にしようとするものである。



社団形態の医療法人と特定医療法人の比較



 医療法人  特定医療法人
法人税率 30%  22%
 出資持分に対する相続税  出資持分に対して相続税が課税  出資持分を放棄するため、相続税非課税
 払い戻し請求権 出資持分に応じて払い戻しを受けられる   出資持分を放棄するため、払戻しを受けられない
役員の親族制限 親族制限なし 親族制限あり
差額ベッド 原則50%以下 30%以下
給与制限 なし 3600万円以下



 
 つまり、特定医療法人が営む公益性の高い医療保健業部分については、通常の損益計算書から切り離して独自の損益計算書を作成し、利益が出たとしても法人税を課税しないようにするのである。
 では、公益性の高い医療保健業とはどのようなものを指すのかというと、医業経営の非営利性等に関する検討会の報告書に記載されている現時点で考えられる「公益性の高い医療(活動)」(案)から推測することができる。ここに記載されている休日診療や夜間診療、へき地医療などが公益性の高い医療保健業に該当することとなるだろう。