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Japan medicine 2005.11.16
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 改正要望から読み解く

特定医療法人の税制の行方

(2)
東日本税理士法人 税理士 田村信勝
非課税の恩恵少ない? 

「公益医療」赤字なら負担増     

 
 一見、今回の要望は法人税が非課税となるので優遇措置のように思われるが、ケースによっては増税となる可能性もある。
 公益性の高い医療は不採算医療が多く、仮に法人税を非課税にしたとしても、その恩恵を受けることがないケースが多いのではないかと考えられる。利益が出れば法人税は非課税となるが、損失が出た場合にはそもそも法人税は課税されないのでまったく優遇されない。
 また、通常の医療保健事業と合算して申告すれば、通常の利益と公益性の高い医療の損失を相殺し、法人全体の利益を圧縮することができる。
 しかしこのケースでは、公益性の高い医療の部分を切り離して申告することになるので、合算している現在のケースに比べ法人税の負担が増えてしまうのである。



◎みなし寄付金制度の創設
 
 みなし寄付金制度とは、公益法人が収益事業部門から収益事業以外の事業部門へ金銭その他の資産を支出した場合に、その支出した金額を収益事業の寄付金とみなす制度である。
 法人税法上、寄付金は損金算入限度額というものが設けられており、全額が損金(経費)として認められるわけではない。補てんするために金銭を出したとしても、損金として認められない部分があるため、税制上は不利な規定である。
 このみなし寄付金制度が導入されると、公益性の高い医療の部門で損失が出た場合、通常の医療部門から公益性の高い部門へ資金を出し補てんした金額は、寄付金としての扱いを受けてしまうのである。
 つまり、「公益性の高い医療保健業に対する法人税非課税」と「みなし寄付金制度の創設」が税制改正として通った場合、公益性の高い医療の部門で利益が出るのであれば、法人税を負担することがないので減税となる。しかし、利益が出ないようなケースでは、増税になることが予想されるのである。

 ◎他の法人からの寄付


 株式会社や他の医療法人が特定医療法人に寄付をした場合に、その寄付金については一般寄付金として取り扱われ、寄付金の損金算入限度額の計算で限度額を超えてしまうと損金算入が認められない。国などへの寄付金であれば、限度額にかかわらず損金算入が認められる。
 今回の要望では、特定医療法人に対する寄付は、国へ寄付したものと同様の取り扱いをするように求めている。この要望が通れば、特定医療法人に対する寄付の全額損金算入が認められ、特定医療法人に対して寄付をしようと考える法人も増えると想定される。


 通常の医療部門  公益性の高い医療部門 合計
収入 500  100 600
費用  300  200 500
利益   200 ▲100  100

※法人税等の税率を35%として計算

(1) 今回の要望に基づく場合の法人税額
    通常の医療部門・・・・200×35%=70
    公益性の高い医療部門・・・▲100のため税額0


(2) 現在の税制の場合
     100×35%=35
    今回税制改正要望が通ることにより、このようなケースでは増税となる




 

 通常の医療部門  公益性の高い医療部門 合計
収入 500  100 600
費用 ▲300 ▲ 200 ▲500
寄付金
▲100 
  100
   0
利益   100     0   100

(1) みなし寄付金制度を導入した場合の法人税等
   (寄付金の損金算入限度額を20とする)
   通常の医療部門・・・・{100+(100−20)}×35%=63
   公益性の高い医療部門・・・0のため税額0
   合計 63

(2) 現金の税制の場合
   (寄付金は法人内部の資金の移動にすぎないので、ないものと考える)
   100×35%=35

 表1のケースと比べれば税額は少なくなるが、それでも現在の税制の場合よりも増税となる。