
週刊東洋経済 2006・10・28
地域医療の中核胆のうが”火の車”
膨らむ赤字、医師不足
八方塞がりの自治体病院

「役所」であることの限界 医師不足、本当の処方箋
八方塞がりの自治体病院に打開策はあるのか。「とにかく医師にやりがいと自由を与えることに自治体は全力を注ぐべき」。総務省の地方経営アドバイザーを務め、多くの自治体病院の再建を手掛けてきた、東日本税理士法人の長 隆(osa takashi)代表は断言する。条件改正を行い医師を「特別職」とすることで職務専念義務から解放する。無駄な足かせを外し空いた時間を自己研修なり研究なりアルバイトなり自由にさせるべき、との処方箋を示す。
江別市から医師の派遣を要請されている札幌医科大学医師派遣部門の千葉修氏も「医師は使い捨てにされるを最も嫌がる。少々の給料が悪くてもやりがいがあれば喜んで行く。カネでは動かない」と指摘する。
「まれに見る黒字病院が再編統合を望んだわけ
また数少ない「黒字病院」であっても課題は山積みだ。山形県の斎藤弘知事と県内酒田市の阿部寿一市長は9月13日、県立日本海病院と市立酒田病院を再編統合することで合意した。統合後の運営形態は協議会で検討するが、自治体の単年度予算主義に縛られない。「一般地方独立行政法人化」(非公務員型)への転換が最有力視されている。実現すれば全国初のケースとなる。
通常、市立病院と県立病院の再編統合では県立が市立を救済合併するケースが多い。今回の話も酒田市側から積極的に持ちかけている。ところが経営状況を見ると、市立酒田病院は4年連続の黒字。対する県立日本海病院は105億円の累積赤字にあえいでいる。そんな「勝ち組」である市立病院側になぜ再編統合を図る必要があったのか。
当初、酒田市は老朽化が進んだ市立病院を単独で新築・移転する整備マスタープランを策定していた。だがこの改築案に地方債の許認可権限を持つ総務省が難色を示した。これを契機に酒田市は方向を転換。05年6月に外部委員会を立ち上げた。その報告が出来上がったのは10月。近隣の県立日本海病院と統合して市立病院は現在の400床の急性期病院から200床の慢性期病院に転換し、急性期病院は県立病院に一本化すべしー。酒田市はこの報告を軸に県への提案を繰り返して、今回の合意へとつなげていった。
黒字の市立病院が統合を急いだ理由は深刻な医師不足にあった。現在、皮膚科、耳鼻咽喉科は常勤医がゼロ。産婦人科、小児科も1人ずつだ。「統合で常勤医ゼロ、1人の診療科が解消されれば、医師の加重労働が緩和され、診療体制を充実できる」(市立酒田病院・佐藤俊男事務部長)というシナリオだ。 |
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