道内初 独立行政法人化の広尾町国保病院*体制充実 

2020.04.22

道内初 独立行政法人化の広尾町国保病院*体制充実 外来4割増*民間の力活用 経営改善
2020.04.07 北海道新聞


長隆 → あり方検討委員会の責任者として
     嬉しい限りです


 【広尾】昨年4月から地方独立行政法人に移行した町国保病院(計良基治院長)の2019年度の外来患者数(速報値)が、過去10年で最多の延べ4万2919人(前年度比42・5%増)となった。社会医療法人北斗(帯広)のノウハウを生かし、医療体制を充実させたことが、患者数の回復につながった。(大能伸悟)

 独法化は、市町村が運営する病院では道内初。過去10年の町国保病院の外来患者数は2010年度の3万9262人をピークにほぼ毎年減少、18年度は3万113人に落ち込んでいた。患者数の「V字回復」は、経営悪化に苦しむ地方病院の先駆例になりそうだ。

 同病院は独法化後、従来不在だった整形外科の常勤医を計良院長が務め、診察を週2日から週5日に拡充したほか、北斗病院(同)の医師派遣を受け、総合診療科と耳鼻咽喉科、消化器内科の3科を新設。希望した患者の電子カルテを北斗病院と共有し、さまざまな疾患を素早く診断、治療できるようにした。

 その結果、1日の平均外来患者数は176・6人で、中期目標(19~22年度)で定めた「1日171人」を上回った。計良院長によると、隣接する大樹町、日高管内えりも町の患者も増えたといい、「診療科目を充実させたことが大きな要因。4年間の目標を1年で達成できた」と分析する。

 入院病棟では48床のうち32床を、患者の在宅復帰をサポートする「地域包括ケア病床」に転換した。入院患者数は前年度比4・6%増の1万3290人。病床利用率は同3・1ポイント増の75・6%となり、中期目標の「85%」に近づいた。

 医業収益は5月の決算後に公表するが、19年度一般会計予算からの交付金は、当初予算を下回る3億9166万円(同28・9%減)。村瀬優町長は「町民の安心と地方財政の健全化を両立できた」と話した。

*患者に安心感、職員にやる気

 【広尾】独法化から1年で外来患者数が回復した町国保病院。右足首骨折で通院中の“患者兼記者”も活気を感じた。患者は「安心感がある」といい、医療スタッフも「やりがい」を口にした。患者の信頼回復が、さらに医療の質を向上させる。市町村の病院では道内初の試みは、こんな好循環を生んでいる。

 外来患者の待合ロビーは、いつも混んでいた。つえをついた人や、腰をさする人。看護師が「具合はどうですか」と声をかける。計良基治院長(65)が常勤医を務める整形外科は、ひと月の患者数が従来の5倍の1500人になった。

 1月29日。取材のついでに駆け込んだ帯広運転免許試験場で転び、内くるぶしを骨折した。市内の整形外科で紹介状をもらい、町国保病院に週1回通院することに。以前は「雰囲気が悪い」「対応がいいかげん」と不評で、恐る恐る通院したが、すぐに心配は消えた。

 独法化で一変した雰囲気は、外来患者も感じているようだ。腰痛で通院中の80代女性は「いい先生が増えた。年寄りはあちこち痛くなるから、とても安心」。別の女性は、導入予定を1年早めた磁気共鳴画像装置(MRI)が心待ちといい、「重症なら、すぐに北斗で診てもらえる」と喜ぶ。

 医療スタッフも充実感をにじませる。看護師の菅野俊美さん(40)は「ひどい腰痛の患者さんが診察後、すぐに歩けるようになった。忙しいけど、勉強になります」。後輩の土屋素子さん(30)も「電子カルテで事務が効率化され、しっかりと入院患者に向き合えるようになった」と語る。

 骨折から1カ月後、ギプスから着脱できる固定装具になり、生活の質は大きく向上した。年度末には松葉づえなしで、歩けるようになった。もし、これが1年前なら-。「ここでは診られない、と言われたかも」と計良院長。以前は整形外科医、外科医が週1日ずつ診察していたが、いずれも非常勤で「トラブルに即応できない。まだギプスだったのでは」。住民にとって地域医療が命綱だと実感した。(大能伸悟)


北海道新聞社