福岡県/老朽化進む中間市立病院 独法化し存続求める

2019.10.15

福岡県/老朽化進む中間市立病院 独法化し存続求める 検討委答申 現規模で建て替えも/北九州・京築
2019.10.09 



 老朽化が進む中間市立病院(同市蓮花寺)の今後の役割などを議論する市長の諮問機関「市立病院あり方検討委員会」(武冨章委員長=飯塚市立病院長)は7日、医師確保に向けて柔軟な給与設定ができる地方独立行政法人が病院経営を担うことが望ましいとする答申を福田健次市長に行った。公立病院としての存続を重視する一方、安定的経営が不可能な場合は民間譲渡も必要とした。老朽化対策としては、現在と同規模の120床を備えた新病院建設の早期検討も求めた。

 検討委は市外の医療関係者ら7人で構成。5月以降4回の議論を行った。

 市立病院によると、2004年度に15人いた常勤医は現在7人まで減少。地方公務員法の給与体系が適用される現状では、民間並みの給与体系を設定できず、低賃金であることも影響しているとみられるという。

 答申は、収益減に直結する医師不足解決のため、地方独立行政法人による経営を提言。また、市立病院の担うべき機能として、18年に232件を受け入れた現状並み以上の救急医療や人工透析などを挙げ、高齢者が長期医療と介護のサービスを受けられる介護医療院の導入も盛り込んだ。新病院は内科や整形外科など現在の8診療科は原則維持し、必要な病床規模として、一般病棟など約80床と介護医療院としての約40床の計約120床を提示した。

 市立病院は築41年が経過し、近年は雨漏りや空調の故障が続発している。公約で早期建て替えを掲げる福田市長は「答申を元に市の方針を早急に決めたい」と話した。 (金田達依)


 ●財政面の検討乏しい

 【解説】現規模の新病院建設の検討を求めた中間市立病院あり方検討委員会の答申は、財政的見地からの検討が乏しい。同病院は約4億4千万円の累積赤字を抱え、市財政も極めて厳しい中、答申内容で公立の医療機関を今後も維持できるか疑問が残る。

 市の貯金に当たる財政調整基金は2014年度は約22億円だったが、18年度は約3億円に減少。来年度の予算編成は難航している。

 市の試算によると新病院は建設費だけでも約60億円。現施設の解体費のほか、用地取得費も必要となれば市の負担はさらに膨らむが、武冨章委員長は「金銭面は行政が考えるべき」として、建て替え後の安定経営のための財政的根拠は盛り込まなかった。

 市立病院は、厚生労働省が9月に再編・統合の議論が必要と判断した公的病院の一つ。検討委では人口減に伴う入院患者減少や近隣医療施設の充実についての説明はあったが、規模縮小や他病院との統合に関する議論もほぼなかった。

 財政の悪化は市民生活に大きな悪影響を及ぼす。市には市立病院存続の可否や適正規模も含めた議論が求められる。 (金田達依)

西日本新聞社