[医師不足 診療所の危機]診療所見直し

2019.08.13

[医師不足 診療所の危機]診療所見直し 統廃合も 患者減で経営圧迫=秋田
2019.08.09 



 ◆識者「体制維持模索を」

 県内自治体の間で、診療所運営について見直す動きが出ている。患者数の減少で経営が悪化する一方、在宅医療のニーズが高まり、医師の負担は増えている。「将来も持続できる体制づくりのため」として統廃合も視野に入れるケースもあるが、識者は「医療がなくなれば、町はなくなる」と警告、医師確保の必要性を訴える。(杉本和真)

 ■在宅需要で負担増

 にかほ市議会の6月定例会。市側は、「診療所を取り巻く環境は大きく変化している」として、国保院内診療所と国保小出(こいで)診療所の運営体制の見直しを検討することを明らかにした。背景にあるのは、人口減に伴う患者数の減少や医療の進歩・高度化だ。

 市によると、両診療所がある地区の人口は2012年の時点で計約3900人だったが、18年までに約500人減った。両診療所のカルテ数も、約1200人から約870人となり、診療報酬が減少したことで実質単年度収支で1200万~1800万円の赤字が続いている。

 在宅医療の需要の高まりで、医師の負担が増していることも課題だ。両診療所は、50歳代の医師が1人で担当。平日の午前と午後で分けて外来を受け付けるなど、両診療所で年間約5500件の診療を実施。365日気の抜けない「在宅看取(みと)り」や、遠い施設への往診も行う。市の担当者は「地域で医師は不足しており、行政側としては医師に将来にわたって勤務してもらう環境整備の視点も欠かせない」と話す。統合や業務の縮小も視野に、今年度末をめどに方針を決める予定だ。

 ■経営、リスク大きく

 由利本荘市でも、鳥海、直根(ひたね)、笹子(じねご)の3診療所の統合を見据えた検討が進む。昨年9月、市医師会などでつくる「地域医療検討委員会」が提言をまとめた。

 市によると、17年度の1日あたりの平均外来患者数は、鳥海が34・1人、直根が13・2人、笹子が27・7人。患者数の減少で収入が上がらず、3診療所の運営を巡っては14年度以降、年間1億5000万円前後の赤字が続いている。

 人口減の影響は、診療所の経営にとって大きな負担となる。県医師会の推計によると、17年の県内の1日あたりの外来患者数は4万7390人だったが、40年には3万6834人に減少する見込みだ。患者がいなければ、診療報酬は得られない。診療所を存続するためには医療機器などの設備投資も必要だ。