ささやま医療センターが分娩休止検討 産科の将来像 議論加速 外来は継続 広域での連携視野 市が検討会準備会 存続求める声、医師不足に理解も

2019.06.17

<たんばリポート>ささやま医療センターが分娩休止検討 産科の将来像 議論加速 外来は継続 広域での連携視野 市が検討会準備会 存続求める声、医師不足に理解も
2019.06.14 



 兵庫医科大学ささやま医療センター(丹波篠山市黒岡)が、分娩機能の休止を検討していることが明らかになり、市内では安全安心な出産や地域医療のあり方について、市民らの検討が始まっている。周産期医療の安全を維持するために、同センターは「広域で考える必要がある」と説明。市民からは機能の存続を求める声がある一方で、医師が不足していることに一定の理解を示す意見もある。(金 慶順、綱嶋葉名)


 同センター産婦人科には本年度、センター副院長の田中宏幸医師と後期臨床研修医の計2人が勤務している。田中医師は敷地内の宿舎に住み、24時間分娩に対応。だが「ノーリスクの分娩はない。本来は医師2人が(24時間分娩に)対応できるよう体制を整えるべき」と話す。

 帝王切開のケースでは、麻酔科医や小児科医も待機するという。「少ない医師でこれまで何とか続けてきた」と同センターの片山覚病院長。「現在の状況で周産期医療を安全・安心な状況に保てているのか」と慎重な姿勢を見せ、「一つの自治体、一つの施設で医療を完結させる形では、人口減少時代の地域医療を維持できない」と訴える。

 具体的に示すのは、丹波市氷上町に来月開院する県立丹波医療センターや三田市内の病院など、近隣の医療機関との連携だ。

 産婦人科での妊娠外来は継続するとし、分娩時は近隣の医療機関へつなぐ方法を示す。つまり、妊娠後の検診はささやま医療センターが行い、出産が近づくと他機関の産婦人科に分娩を引き継ぐ形になる。患者の要望があれば、同センターの医師が他機関に出向いて分娩に立ち会う「オープンシステム」も検討したいという。

 医師の働き方改革や研修医の教育的見地も判断材料とするが、「分娩を休止することで丹波篠山市内の妊婦を見捨てるわけではない」と強調。市の要望があれば、市民に現状や方針を説明したいとしている。

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 5月末。丹南健康福祉センター(同市網掛)に市職員や医師、助産師や市民ら約20人が集まった。酒井隆明市長の呼び掛けで、ささやま医療センターの産科充実に向けた検討会の準備会として話し合った。

 市健康課によると、市内で分娩可能な医療機関は2カ所。2017年度に出生した269人のうち89人がささやま医療センター、81人がタマル産婦人科(同市東吹)での出産だった。市内での出産を望む市民からは、同センターの分娩維持を求める声が上がる。

 参加者からは「分娩を存続してほしい」「よその医療機関に集約されるというが、本当に安心して出産できるのか」などの意見がある一方で、医師不足のため分娩維持の難しさに理解を示す声もあった。「市営のバースセンターのような施設を造れないか」という提案もあった。

 市は今月下旬にも検討会を立ち上げ、産科充実に向けた課題を探る。県を交えて兵庫医科大とも協議したいという。