山形県幹部に聞く~新時代の県政運営[6]

2019.05.13

山形県幹部に聞く~新時代の県政運営[6] 健康福祉部長・玉木康雄さん 医療統括監・阿彦忠之さん
2019.05.03 



【健康福祉部長・玉木康雄さん】医療的ケア児の支援強化

 ―日常的に介助が必要な「医療的ケア児」への支援体制構築が急がれている。どう対応するのか。

 「山形県は2月、医師や看護師など関係者が一堂に会する県医療的ケア児支援会議を立ち上げた。現状を把握するためのアンケートを実施し、結果を取りまとめている。これに基づき医療的ケア児の通院状況、福祉サービスの利用や就学、保育の状況、家族が抱える負担感などについて詳細に分析し、ニーズに沿った具体策や効果的な支援につなげる。障害福祉や母子保健、保育、教育など各分野にまたがる支援サービスを調整するコーディネーターの養成にも取り組む」

 ―認知症対策の充実が求められる。

 「正しい知識を持つ認知症サポーターを養成し、認知症高齢者を地域で見守る活動につなげる。相談や診断、治療に一元的に対応する認知症疾患医療センターは県内4カ所(篠田総合病院、新庄明和病院、佐藤病院、日本海総合病院)だったが、4月から国立病院機構山形病院を追加し、支援体制の強化に努めている。交流拠点として各地に開設した認知症カフェや、若年性認知症患者のニーズを踏まえたワンストップの相談体制強化も図る」

 ―県は「健康長寿日本一」に挑戦する。県民総参加による取り組みが鍵だ。

 「地域の視点では、それぞれの地域や団体による健康づくりの先進事例をまとめたサポートブックを作り、健康づくりのけん引役となるリーダーを育成する。職場の視点では、企業の優良事例やノウハウをまとめた手引書を作り、職場内で健康経営を推進するリーダーを養成する。健康づくりに活用できる本県の森林や温泉、食など豊かな地域資源の情報を収集し、これらを生かしていきたい。将来的には旅行会社と連携したヘルスツーリズムも提案していく。減塩や運動習慣の徹底も、健康長寿に向けた施策の柱として取り組む考えだ」

(佐藤裕樹)

【医療統括監・阿彦忠之さん】110の感染症に公表基準

 ―県の感染症に関する公表基準が本年度、見直された。どのように配慮して運用していくか。

 「感染拡大防止に万全を期すため約110の感染症ごとに公表基準を設け、対応を明確化した。2000年度以来の見直しだ。インフルエンザの集団発生について、学校から臨時休業(学級閉鎖、学年閉鎖、休校)の報告があった場合、校名や児童数を公表し地域での注意喚起につなげる。県のホームページで流行状況を地図で示すことも検討中だ。インフルエンザ以外の感染症は原則的に施設名を公表しないが、感染拡大防止のために感染者が利用したホテルや公共交通機関、飲食店など不特定の人が出入りする施設を周知する必要がある場合は公表する」

 ―団塊の世代が75歳以上となる25年の医療需要を示した県地域医療構想について、今後の重点は。

 「県全体の病床数は15年度の1万1716床から18年度までに340床減少したが、25年の必要病床数と比べ全県で2100床余り多い。病床機能別では急性期が625床減、回復期が224床増で、急性期から回復期への転換が徐々に進んでいる。急性期はがんや難病など専門医療の拠点化や集約化、回復期は地域包括ケアシステムの構築を意識した幅広い検討が必要と考えている」

 ―厚生労働省が2月公表した医師偏在指標で本県は全国40位で、医師少数県に位置付けられた。

 「昨年7月の医療法改正で、各都道府県は『地域医療対策協議会』を設置し、医師確保計画策定に向けた協議を行うこととされた。本県では本年度、協議会を設置し、医療圏ごとの医師確保の方針、確保すべき医師数、具体的施策などを同計画に盛り込む。地域医療構想の推進のほか、新専門医制度に対応したキャリアパス(職務経路)や医師の働き方改革を見据え、山形大医学部や県医師会など関係機関と連携した取り組みにしていく」

(佐藤裕樹)

山形新聞社