黒潮=医師増の藤枝市立総合病院-地域医療に市民の目を(寺田将人/藤枝支局)

2019.05.08

黒潮=医師増の藤枝市立総合病院-地域医療に市民の目を(寺田将人/藤枝支局)
2019.05.01  


 藤枝市立総合病院の医師数が年々増加している。不適正な保険請求による保険医療機関の指定取り消し処分などを乗り越え、救急医療や高度がん治療の充実、浜松医科大との連携強化などが奏功した。人口減少社会を迎え各都市の急性期病院の在り方や長時間労働をはじめとした医療従事者の働き方改革が問われる中、地域医療体制の維持に向け、長期的な視野に立った病院経営や自治体間の連携が求められている。

 同病院は歯科口腔(こうくう)外科のインプラント治療を巡る不適正な保険請求により、2007年10月から1カ月の保険医療機関の指定取り消し処分を受けた。2008年度には正規の医師数が62人まで落ち込み、病院経営も悪化した。

 しかし、関連病院としての浜松医科大との連携強化をはじめ、他大学の県内出身者や浜松医科大の初期臨床研修医らにキャリアビジョンを具体的に示すなどの立て直しを進め、08年度以降は増加傾向を維持している。17年度から救命救急センターに指定され、藤枝市も市がん対策推進条例を制定するなど「地域がん診療連携拠点病院」として高度がん医療の充実を図った。19年度には初期臨床研修医を含めた医師数は152人まで増加した。

 医師の確保は、医療の質向上や健全な病院経営、病院の基盤整備につながる。団塊世代が75歳以上になる25年に必要な医療体制の確立も重要だ。さらに、その後急速に進む人口減少社会を見据え、機能集約や再編など各自治体の急性期病院の在り方も今後確実に問われてくる。

 国が進める人口減や高齢化に合わせた医療提供体制の再編が必ずしも各地域に当てはまらない事情もあるが、次世代に向けて医療費の抑制などを早急に進めていかなければならない。また、医師の長時間労働解消も抜本的な解決策も見つかっていない。ただ、患者と医師双方の歩み寄りなど私たちの意識変化から改善できる面もある。いずれもわれわれ市民にとって決して縁遠い話題と捉えず、一人一人が地域医療に目を向けることが時代に即した病院経営を支える一助にもなるはずだ。

 (藤枝支局・寺田将人)

静岡新聞