お産、安心して臨みたい 産婦人科医不足が深刻化 /東北・共通

2019.02.25

 お産、安心して臨みたい 産婦人科医不足が深刻化 /東北・共通
2019.02.23


 医師の不足や地域偏在が東北地方で深刻さを増している。お産ができる医療施設も年々減ってきており、人口減少や、子育て世代の流出に拍車がかかると懸念されている。自治体は、診療所の開設費用を補助したり、大学に寄付をして医師の派遣を求めたりと対策に力を入れている。


 ■窮余の「1億円」

 「わたしの任期中に産婦人科ができるというのは、難しいと思っております。非常に高いハードルがある」

 21日に開かれた宮城県栗原市議会。2年前の市長選で選挙公約に掲げた、市立病院で分娩できる体制整備の実現時期を議員から問われ、千葉健司市長は、こう答弁した。

 現在、市内には産婦人科、小児科を専門とする診療所が1カ所ずつで、医師はともに60代。市立病院は医師不足で分娩(ぶんべん)を扱っておらず、妊婦の約7割が市外で出産しているという。市は窮余の策として、市内に産婦人科、小児科の医療施設を開設する医師に対して、開業費用の一部を最大1億円助成する制度を新年度から導入する方針だ。

 ただ、効果は見通せない。岩手県も産科医確保のために同様の独自事業を今年度に導入したが、開業には至っていない。「県内の分娩を取り扱っている診療所の数が減っており、新規の開設は困難な状況だ」(医療政策室)。

 医師不足や偏在は国も理解しており、対策に取り組む。18日に開かれた厚生労働省の医師需給分科会では、医師偏在の度合いを示す指標の試案が示された。地域の医療ニーズに見合う医師がいるかを数値化したものだ。

 都道府県別に順位がつけられ、東北6県では宮城県(22位)を除く5県が不足している地域として下位に並んだ。40位山形県、41位秋田県、44位福島県、45位青森県、47位岩手県――軒並み40位台だ。今後、産婦人科医、小児科医について指標を作り、改善策を検討していく。


 ■招請、市民が協力

 出産や子育てに重要な役割を果たす産婦人科医。日本医師会総合政策研究機構によると、全国の産婦人科医は16年が1万3154人で、1996年と比べて6%増えている。しかし、東北では全国のトレンドに反し、宮城県を除く5県で減っているのが実情だ=表参照。

 秋田県北部にある鹿角市では18年、「かづの厚生病院」が分娩の取り扱いを休止した。医師不足が理由だった。市によると、年間の分娩件数は約200件。いまは、隣の大館市の市立病院が引き受ける態勢でしのいでいる。

 秋田県も秋田大学、岩手医科大学に寄付講座を開いて医師の派遣を求めているが、産婦人科医の確保は大学側でも厳しい状況にあるという。

 「鹿角の産婦人科を守る会」を立ち上げて、産婦人科医の招請に取り組む安保大介さん(37)は「大館市まで、冬には車で1時間かかる。地吹雪の時は走行不能の状態になる。やはり、市内で出産できる環境が必要だ」と話す。

 会では、地域医療を市民も支えるという考えのもと、医療現場とのコミュニケーション改善に取り組んでいる。18年9月には、男性向けに妊婦体験講習会を開いた。

 安保さんは言う。「市民も医療に関する基本的な知識を身につけて、医療者側の負担軽減につなげたい。医療者が住みやすい地域にしたい」(角津栄一)