勤務医、「当直後も通常勤務」7割 厚労省調査

2019.02.18

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S13893447.html

勤務医、「当直後も通常勤務」7割 厚労省調査
2019.02.15朝日新聞



 フルタイムで働く勤務医の7割超が、当直明けも業務の軽減がなく通常勤務をしていることが、厚生労働省の調査でわかった。連続勤務が36時間を超すケースもあった。厚労省は一部の勤務医に、長時間労働を認める代わりに、連続勤務時間などを制限する方向で検討している。現場は変化を迫られそうだ。


 調査は、管理職や研修医を除く、勤務医が対象。2017年8月に全国約8400病院に調査を依頼し、回答があったうち、就業規則などの始業から終業の労働時間が「週35時間以上」だった約2千人分を分析した。

 17年6月の1カ月で最長の勤務(拘束)時間を尋ねると、4割が「32~36時間」、2割が「36時間以上」で、休息を除いた実際の労働が36時間超の勤務医も複数いた。同月に当直をした人の74%は当直明けが「通常勤務で、業務内容の軽減はない」と答えた。

 医師の長時間労働が支える医療体制は、今後大きく変わる可能性がある。昨年成立した働き方改革関連法で残業時間の罰則つき上限が導入され、勤務医には24年4月から適用される。

 厚労省は先月の検討会で、一般勤務医の上限を年960時間、一部の勤務医では特例で「年1900~2千時間」と提案した。特例は、地域医療の確保などが目的。適用する医療機関を特定し、35年度末までの暫定措置としている。

 特例を設ける背景には、残業が年1920時間超の病院勤務医が推定約2万人、2880時間超も約3600人いる現実がある。特例の上限は一般労働者の2倍で、強い反発の声が上がる。厚労省は連続勤務を28時間以下とする制限や、勤務間の一定時間の休息などを条件とし、こうした対策が長時間労働の改善に効くとみている。


 ■36時間連続「誰かがやらないと」 働き方改革、制限の対象か

 現場の最前線では、医師の長時間労働が住民の命を守っている。

 1月下旬、救急当直に入った神戸大付属病院の井上茂亮・特命教授(44)の連続勤務は、「約36時間」だった。

 午前6時に勤務開始。その後、当直で大動脈解離や、やけどで運び込まれた患者を診た。深夜は救急隊からの受け入れ要請、集中治療室からの相談に追われ、眠れたのは4時間に満たなかった。

 翌日午前6時半に、大量の血を吐いたという高齢男性が救急車で運ばれてきた。自宅近くでは受け入れる病院がなかったという。

 ベッドに移された男性は「吐きたい」と言って、200ccほど吐血。「結構出てるね。血圧下がるから気をつけて」。井上さんがスタッフに注意を促した直後、低血圧を知らせる電子音が響き始めた。研修医2人が手早く点滴などのラインを確保。消化器内科の担当医も駆けつけてきた。

 引き継ぎを済ませると、午後6時ごろまでマウスを使った基礎研究や院内の会議をこなした。12時間後の翌午前6時からは、勤務を再開した。

 「誰かがやらないと医療は崩壊するので。これでも結構寝られたし、実験や研究は医学の基本。楽しいです」と井上さんは言う。

 厚労省の案では特例対象になると、連続勤務は28時間までに制限される。午前6時から働けば翌日午前10時まで。次の勤務までに18時間の休息も必要となる。守れない場合は、その分の休息を翌月までにとらねばならない。(阿部彰芳、小坪遊)