後発薬データ 地域で共有 酒田 リスト作り処方推奨 医療費削減に期待

2019.01.20

後発薬データ 地域で共有 酒田 リスト作り処方推奨 医療費削減に期待=山形
2019.01.16 東京朝刊 



 酒田市の医療法人や薬剤師会などでつくる地域医療連携推進法人が昨年11月、後発医薬品(ジェネリック)の有効性や経済性、安全性を検討したうえで積極的に活用する指針「フォーミュラリー」を策定し、地域内で運用を始めた。指針は個別の病院では取り入れられてきたが、地域で取り組むのは全国でも珍しい。関係者は「地域の医院や薬局を幅広く巻き込むことで、薬剤費の大幅な削減や患者の安全な服薬管理につながる」としている。

 ジェネリックは先発薬と同じ有効成分が含まれ、同じ効き目があるとされる。開発費を抑えることもできるため安価だ。だが、薬が体内に吸収される時間など製品ごとに若干の差があるため、医師は使い慣れている先発薬を処方するケースが少なくない。また、1種類の先発薬に対し、複数の製薬会社がジェネリックを作っており、医師や患者が異なるジェネリックを希望した結果、医療機関が多種類のジェネリックを抱える非効率な在庫管理を強いられている場合もある。

 酒田市の地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」は、日本海総合病院を核に、市内で病院などを運営する医療法人や、地元の薬剤師会、医師会など9法人で構成。相互の役割分担と連携を図り、医療や介護、福祉などのサービスを将来にわたって安定して提供できる態勢づくりに取り組んでいる。ジェネリックに関するフォーミュラリーの取り組みもその一環だ。

 具体的には、連携推進法人内でジェネリックの有効性や安全性を試験データなどから評価し、薬価など経済性も加味したうえで、薬効別に1~3種類程度のジェネリックを推奨薬リストにまとめ、地域で共有。医師がリストを参考にしながら処方薬を判断する。

 現在は胃疾患と糖尿病に関する二つの薬効群で指針を策定し、今月中に高血圧と高脂血症の二つの薬効群を追加する予定。

 連携推進法人の栗谷義樹代表理事は「医師や薬剤師に指針について理解をいただくとともに、品目を拡大し、地域で大きな医療費削減効果を生んでいきたい」と話す。

 処方される薬の品目が狭まれば、薬局側も患者が服用する薬を把握しやすくなる。酒田地区薬剤師会の佐藤義朗会長は「患者の安全な服薬管理や患者個人の費用負担の軽減にもつながる」と強調する。

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 同様の指針を取り入れる動きは全国でも出始めている。昭和大学病院(東京都品川区)や同区の薬剤師会などは今年、区全体での本格運用を目指す。全国健康保険協会(協会けんぽ)静岡支部(静岡市)も今年の導入を目指し、各医療機関と協議を進めている。

 指針の導入による薬剤費の削減効果は顕著だ。全国に先駆けて2014年度に病院単位で指針を取り入れた聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)は15年度、薬剤購入額を前年度から約1200万円削減できた。

 16年度に国民が医療にかけた費用の総額(国民医療費)は42兆1381億円で、このうち薬局調剤医療費が7兆5867億円と約18%を占める。高齢化などに伴って薬局調剤医療費は10年前より約61%増加しており、全体の医療費を押し上げる要因となっている。このため厚生労働省は17年11月、中央社会保険医療協議会(中医協)で、聖マリアンナ医科大学病院の事例を紹介するなどして、薬剤費の抑制策を検討している。

 病院から地域へと範囲を広げて指針が導入されれば、薬局調剤医療費のさらなる削減につながるとみられる。酒田市の地域医療連携推進法人の栗谷代表理事は「日本の医療財源は危機的な状況にある。医療機関の枠を超えて医療費削減に取り組む必要がある」と話している。


 

読売新聞社