「後発品ない先発品」も焦点 金額ベースの視点強調  地域フォーミュラリー研究会

2019.01.23

「後発品ない先発品」も焦点 金額ベースの視点強調  地域フォーミュラリー研究会
2019.01.22 日刊薬業



 日本医薬総合研究所主催の地域フォーミュラリー研究会が19日開かれ、地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の栗谷義樹代表理事や、協会けんぽ静岡支部の名波直治・企画総務グループ長らが地域フォーミュラリーの運用状況を説明した。講演では長期収載品から後発品への切り替えとともに、後発医薬品のない先発医薬品対策の重要性が強調された。

●最終判断は薬価、3月にも中間報告  山形・酒田地区

 日本海ヘルスケアネットが軸となる山形県酒田地区の地域フォーミュラリー事業は2018年11月にスタートした。栗谷氏は地域での展開について「院内と異なりステークホルダーが多いため、地区医師会や病院医師の意向の調整が必要。難易度ははるかに高い」と指摘。同時に「後発品のない先発品の取り扱いで経済効果が大きく変わる」と述べるなど、適切に運用すれば地域医療経済への影響が大きいと強調した。

 後発品の評価基準では、生物学的同等性試験の結果や原薬のダブルソース化などを考慮しながら、最終的に薬価が安いことを重視しているとした。また、安定供給や地元に製薬企業の事業所があることとともに、「錠剤(への識別コード)は刻印か印刷かも基準に加えた」とし、刻印は見えにくいという意見も紹介した。

 フォーミュラリー化の検討対象となった薬剤は消化性潰瘍剤PPI、高脂血症治療薬スタチン、降圧剤ARB、糖尿病治療薬α-GI。これら4薬効の同地区での年間薬剤費は3億~4億円と推計されている。薬剤選定作業はまずPPIとα-GIから開始。PPIでは「ネキシウム」と「タケキャブ」の使用割合が全体の40%に達しており、これらがタケプロンの後発品に置き換われば6400万円の削減効果が生まれると試算した。

 それを基に作成した「PPI経口剤フォーミュラリー案」では、ランソプラゾールOD錠15mg/30mg(日医工、トーワ)、ラベプラゾールNa錠10mg(サンド、トーワ)、オメプラゾール錠20mg(アメル、トーワ)が第1推奨群となった。

 今後は包括的評価を行った上で、3月ごろに中間報告をまとめる方針。対象薬剤は費用対効果の高いDPP-4阻害薬などへ拡大するという。これまでに実施した医師会員への調査(20人)では、フォーミュラリーに「関心あり」の9人に対し「なし」は11人だった。しかし、栗谷氏は「予想より関心は高い」とみており、「処方箋枚数の多い診療所ほど関心が高いという印象だった」と話した。

●「ネキシウム」「タケキャブ」「アジルバ」で効果  協会けんぽ静岡

 協会けんぽ静岡支部の名波氏は保険者として地域フォーミュラリーに取り組んだ背景を説明。政府目標の後発品数量シェア80%に向かって施策展開してきたものの、「金額ベースの視点が欠けていた。数量ベースでは先発品しかない薬剤は分母から外れるため、これらも視野に入れる必要が出てきた」と述べた。

 同支部は昨年暮れ、地域フォーミュラリー策定に向けた薬剤費削減効果の検証結果を発表。スタチン、PPI、ACE・ARB、ビスホスホネートの4領域で、年間約35億円の薬剤費が約13億円節約できるとしていた。名波氏は分析対象となった病院の状況を紹介する中で、ネキシウム、タケキャブ、「アジルバ」でフォーミュラリー導入効果が期待できると指摘。検証結果はリーフレットにして県内184の基幹病院に配布し、「来年度は静岡単位もしくは地域単位で一つの定型を作れるように働き掛けていきたい」と述べた。

 その実現に向け、病院内で薬剤部から医師への要請をサポートするエビデンス集を作成。「臨床効果」「ガイドライン」「安全性比較」「副作用情報」が一覧でき、「病院や薬局がどの薬効群から攻めていくか、一緒にノウハウを積んでいきたい」と話した。

 病院と保険薬局の緊密な情報交換の必要性も強調。「処方元と薬局をレセプトでひもづけて薬局ごとに状況を整理することが重要で、これが地域単位でできるのは保険者だけ」と述べた。保険者が地域の情報共有のハブ的役割を担うことで、フォーミュラリーの浸透を図りたい考えだ。

株式会社じほう