医療機関の検体受託、範囲制限を撤廃/厚労省が新通知 検体検査全般に拡大

2019.01.07

医療機関の検体受託、範囲制限を撤廃/厚労省が新通知 検体検査全般に拡大
2018.12.11 Medical & Test Journal



 改正医療法等の施行に合わせて厚生労働省は、医療機関の間で検体検査を委受託する場合の範囲を検体検査全般に広げるとした通知をまとめ、11月29日付で各都道府県などに発出した。病理学的検査と遺伝子検査に限定していた従来の規定を取り払い、ブランチラボの精度確保の基準を順守していることを前提に、検体検査全般の委受託を認める。実施医療機関が一部に限定される高度な検体検査の提供体制整備が狙いだが、この規制緩和により、地域医療連携推進法人の仕組みを活用した検査機能連携がしやすくなる。

 厚労省は2005年3月の通知により、病理学的検査、遺伝子検査に限って病院の検査受託を認めてきた。一方で、12月に施行された改正医療法では、検体検査の委託先として、登録衛生検査所のほかに、病院、診療所、厚労省令で定める場所(保健所や検疫所など)という3カ所を規定する条文(第15条3)が新設。精度確保の基準に適合していれば医療機関に検体検査を委託できることが法令上明確になった。

 この条文について厚労省は11月29日付で新たな通知を発出し、05年3月の旧通知を廃止。旧通知に記載されていた検査範囲の制限を撤廃した。

 新通知では、委受託できる検査の範囲は限定せず、受託側にはブランチラボに求められる精度確保の基準の順守を、委託側に対しては受託側の基準順守の確認をそれぞれ規定した。受託側にはさらに、非営利性の確保、本来の検査業務に支障を生じない範囲内とすることを求め、再委託は認めないことも明記した。

 今年から始まった地域医療連携推進法人の制度では、参加する法人間で診療機能の分担や人事交流などができる。全国に6カ所ある同推進法人のなかには、基幹病院の検査室に地域の検体を集め、一括で検体検査を行う構想もある。従来は衛生検査所の登録が必要とされてきたが、新通知により登録が不要になり、実施しやすくなる。

●疑義解釈を発出、POCTも基準順守を

 厚労省はまた、同日付で改正医療法等の施行についての疑義解釈資料(事務連絡)も各都道府県などに送付した。計29の疑義について運用上の解釈を示した内容で、インフルエンザ迅速検査キットなどのPOCTも精度確保の基準順守が必要との判断を示した。厚労省では、POCTキットに不具合があったときなどに迅速に患者に連絡・対応ができるよう、特に測定作業日誌の作成を重視している。

 また、医療機関の検査室が作成する測定標準作業書について、定義や臨床的意義などの項目も記載は「必須ではない」との解釈を示した。8月10日付の厚労省通知では、定義などの5項目を挙げつつ、診療特性などの項目を示して「可能な限り多くのものを盛り込むことが望ましい」としていたが、法令上はいずれの項目も必須ではなく、記載が望ましい項目であることを示した。法律上は測定標準作業書があれば内容までは問わない。

 疑義解釈はまた、衛生検査所が病理検体の切り出しを行う際の医師からの指示について具体的に記載した。衛生検査所指導要領では、病理検体を用いた遺伝子関連検査を行う際、「切り出す箇所に係る具体的な指示を当該医療機関の医師が行」うことを明記している。精度確保の基準についての議論の過程で病理医の関与を担保するよう求める意見があったことに対応した記載だ。この点について疑義解釈では、依頼の目的や病変組織の種類、大きさ・厚さなどが、医師からの具体的指示にあたることを示した。

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