どうする登米の医療 開業医はいま

2018.12.06


どうする登米の医療 開業医はいま/(下)在宅診療に新風/交代制 都市と行き来/「都市部に集中する医師を地方に循環させ、医師不足を解消できないか」。東日本大震災後、在宅診療の分野で、医師の新しい働き方を
2018.12.04 河北新報


(下)在宅診療に新風/交代制 都市と行き来

 「都市部に集中する医師を地方に循環させ、医師不足を解消できないか」。東日本大震災後、在宅診療の分野で、医師の新しい働き方を模索する挑戦が登米市で行われている。

<遠くは関西から>

 月曜から水曜は登米市で、木、金曜は神奈川県で。地方と都市の診療所を行き来する。訪問診療専門の「やまと在宅診療所登米」(登米市)院長の田上(たのうえ)佑輔さん(38)の働き方は、これまでの概念を覆すスタイルだ。

 同診療所は2013年、田上さんが開業した。「慢性期からみとりまで」「365日24時間態勢」をモットーに、通院が困難な人や退院後に自宅療養を望む人、自宅で最期を迎えたい終末期の人らを対象に、訪問診療する。

 首都圏や関西、仙台などから通う医師約20人で勤務シフトを組み、市全域と周辺の在宅患者約350人を担当している。

 「医療は何のためにあるかを考えると、患者とその家族の幸せに行き着く。安心できる自宅で療養したいという人が多い地方だからこそ、お手伝いが必要」と田上さんは話す。

 国が推進する「地域包括ケア」を意識。医師や看護師、薬剤師、栄養士のほか、ケアマネジャーや行政担当者も連携して患者の事例検討を重ねる。クラウド型電子カルテなど最新のIT技術も使って情報を共有。地域で支える全員参加型のチーム医療を目指す。

<循環モデル提唱>

 熊本市出身、東大医学部卒。東大付属病院の外科医だった頃に震災が起き、南三陸町や登米市で被災地支援に当たった。登米市民病院で非常勤医として、夜間の当直や週末の日直を、東京の医師仲間10人と交代で1年半ほど担った。

 「登米は住民の高齢化が進んで医療需要が高いはずなのに、医師が足りず十分な医療を提供できていないと感じた」と田上さん。

 「首都圏在住でも地域医療に興味を持つ若い医師はたくさんいる。移住せずとも週に数回、登米で勤務できる人が一人でも増えるよう活動している」と話す。

 医師を対象に東京でイベントを開き、都市から地方へ医師が循環するモデルを訴える。都市部の医師が地方の医療を学ぶ一方、地方の医師不足と医療再生を図る取り組みを提案する。

 実践は実を結びつつある。田上さんは大崎市に16年11月、県内で二つ目の在宅診療所を開業。東京から単身赴任する医師らが5人前後で、大崎地域約200人の患者を診ている。

 在宅診療所登米は「総合診療医」のへき地医療研修プログラムに組み込まれ、東京の病院から若手医師が研修に来るようになった。

 「若い医師が地方に来やすい環境を整備することが必要。開業医の立場で医師の働き方改革を実践し、地方の医師不足解消の一助につなげたい」と語る。


河北新報社