どうする登米の医療 開業医はいま

2018.12.05


どうする登米の医療 開業医はいま/(上)休診の余波/「1日20人増」カバー/登米市は本年度、深刻な医師不足のため、運営する3病院4診療所のうち二つの診療所を休止した。その一つ、同市登米町の登米(とよま
2018.12.02 河北新報 


(上)休診の余波/「1日20人増」カバー

 登米市は本年度、深刻な医師不足のため、運営する3病院4診療所のうち二つの診療所を休止した。その一つ、同市登米町の登米(とよま)診療所に通っていた患者1073人は、約3分の1が地元医院で診察を受ける選択をした。地域医療の最前線で住民の健康と命を守る同市の開業医の現状と課題を探る。(登米支局・小島直広)

 「きょうは人が多いね」。待合室で男性患者が受け付けスタッフに声を掛けた。11月下旬の朝、登米市登米町の「小出(こいで)医院」。インフルエンザの予防接種の時季でもあり、診察開始30分前にもかかわらず20人以上がいすに腰掛けていた。

<300人が2医院へ>

 内科・小児科の同医院は小出佳代子医師(49)が2016年10月に開業。小出さんはその前の13年4月から約3年間、市立の登米診療所に勤務した。

 人口約4800の登米町域に個人医院は2カ所ある。今年8月の登米診療所休診の影響で、2医院に約300人が移った。うち小出医院は9割の約270人の外来患者を引き受けた。前年より1日平均約20人患者が増えたという。

 「月に1度、薬の処方をする方が多い。医師は私1人なので若干お待たせする時間が長くなってはいるが、スタッフの頑張りで何とか受け入れることができている」と小出さんは語る。

 佐賀県出身、自治医科大卒。九州の離島やへき地を複数回り、東日本大震災直後に、鹿児島県種子島の病院から岩手沿岸の県立釜石病院にボランティア医師として派遣された。

 「震災で東北の医療現場にかかわり、西日本に比べて医師不足が深刻なことに気付いた。見ず知らずの土地だが大学の同級生が市立病院勤務医だった縁もあり働くことにした」と語る。

 3年間登米診療所で働いた後に開業した理由は、同診療所にはない、ライフワークの小児科分野の仕事を続けたかったからだ。

 「0歳から100歳以上まで、この地域の人たちを自分のペースで診続けたいと思った」と小出さん。登米町域の小、中、高校、幼稚園などの健診のほか、約20人の在宅高齢者の訪問診療も行う。

<進む高齢化懸念>

 小出さんのような開業医が地域医療を支えると同時に、市内では開業医の高齢化が進んでいる。

 市医師会によると、人口約8万に対し市内の開業医は35医院41人(11月末現在)。平均年齢60.9歳で、70歳以上は11人。最高齢は85歳になる。地域的分布では市役所がある人口約2万の迫町域に、約半数の17医院21人が集中する。

 医師会理事の八嶋徳吉医師(63)は「開業医は中核の登米市民病院の防波堤。この人は通院で済む、この人は病院へ入院させた方がいいなど、患者を振り分ける機能を果たす」と説明。その上で「このまま開業医の高齢化が進めば、どこまで役割を果たせるか分からない」と警鐘を鳴らす。