山形で「地域フォーミュラリー」が始動  第1弾はPPIとα-GI

2018.12.03

山形で「地域フォーミュラリー」が始動  第1弾はPPIとα-GI
 2018.11.20 日刊薬業



 山形県酒田市で日本海総合病院などを運営する地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構を中心とした地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」(代表理事=栗谷義樹・同機構理事長)は今月から、地域の医療機関や薬局などに推奨する医薬品を定めた「地域フォーミュラリー」の運用を開始した。経済性にも優れた医薬品の使用を進めることで、地域の医療費削減に貢献するのが狙い。推奨薬の選定には薬剤師会も関わっており、標準的な薬物療法を地域ぐるみで推進する。医療機関単位でフォーミュラリーを運用しているケースはあるが、地域単位では初めて。

 同ネットワークに加入しているのは、同機構をはじめ地域で医療機関、介護施設を運営する医療法人や社会福祉法人のほか、酒田地区医師会十全堂、同地区歯科医師会、同地区薬剤師会を含めた9法人。急性期から回復期、慢性期までの病院や診療所、介護施設、薬局などがそれぞれの独立性を維持しつつ、統一方針の下で効率的な地域医療サービスを提供することを目的に4月に発足した。推進法人に三師会が加入するのは珍しく、酒田地区(酒田市、庄内町、遊佐町)全域の医療機関、薬局を網羅している。

 「推進法人の大きな目的は、限りある地域での医療資源の再配分と、地域での費用管理。社会保障財源の確保が厳しい中、このままでは保険者の支払いが行き詰まり、医療機関も介護施設も経営できなくなる可能性が高い。まず自分たちの地域の医療費を下げるために何ができるかを考えた」と栗谷代表理事。医薬品や医療材料を共同購入するという発想にとどまらず、地域全体で経済的な医薬品を優先的に使用するフォーミュラリーの導入を決めた。

 今回、フォーミュラリー第1弾の対象となったのは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)とαグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)で、それぞれ推奨する成分と品目を選定した。PPIはランソプラゾール(武田テバファーマ、東和薬品、沢井製薬)、ラベプラゾール(サンド、日医工、キョーリンリメディオ)、オメプラゾール(東和、共和薬品工業、日医工)の後発医薬品3成分。α-GIはボグリボースOD錠(沢井、東和、高田製薬)、ミグリトール(東和、沢井=OD錠)の後発品2成分となった。

 選定に当たったのは、日本海総合病院など推進法人に加入する病院の薬局長・薬剤部長と、同地区薬剤師会の薬局薬剤師で構成する「地域フォーミュラリー検討委員会」。具体的な品目については、酒田地区での調剤実績やシェアなども考慮しながら、▽生物学的同等性試験▽原薬の産地▽一包化の安定性と利便性▽薬価▽錠剤印字-の5項目を基準に決めた。新規の後発品やオーソライズドジェネリックなどが発売されたタイミングでリストの見直しも検討する。さらに今後、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やスタチンについても選定を進める考えだ。

 地域の医療機関や薬局に対する推奨品目の使用に強制力はなく、あくまで要請。フォーミュラリーの運用開始に当たっては、連携法人に加入するそれぞれの法人や組織を通じて所属する医師や薬剤師らに周知したが、医師会に加入する医療機関で比較的規模の大きい診療所などに対しては、栗谷代表理事がじかに説明した。【PHARMACY NEWSBREAK】