連載/2025年超寿社会 第5部 綱渡りの医師確保 5/インタビュー 全国自治体病院協議会 小熊豊会長 地域と歩む総合医増やせ

2018.10.17


連載/2025年超寿社会 第5部 綱渡りの医師確保 5/インタビュー 全国自治体病院協議会 小熊豊会長 地域と歩む総合医増やせ
2018.10.11  


 医師の偏在問題について約880の公立病院が加盟する全国自治体病院協議会の小熊豊会長に聞いた。

 ―地方の医師不足が続いている。

 「へき地の病院を中心に、絶対的な人手不足による、悲鳴に近い声が聞こえてくる。実際に、外来の診療時間を減らすなど、診療を縮小する病院が相次いでいる。働き方改革を進める必要がある中で、地域医療をどう守るべきなのか。重要な局面となっている」

 ―原因は何か。

 「2004年に臨床研修制度が始まり、新人医師が研修先を自由に選べるようになった影響は大きい。規模が小さい地方の病院では、予算や設備の関係で専門性の高い医療ができず、若い医師が、高度な症例を経験したいと考えて都市部に集中するようになった。今年4月から始まった新専門医制度で、その傾向が進まないか懸念している」

 ―解決策は。

 「以前は、大学の医局が半ば強制的に地方の病院に医師を派遣するケースが多かった。本人の意向を無視して地方で働かせることは許されないが、1~2年程度の短期間ならへき地に勤務してもいいという医師は一定数はいる。国が先導し、期限付きでもいいから医師を常に循環させ、不足する病院が出ないようにする制度を確立するべきだ」

 ―人手が足りない病院で働く医師にとって必要なことは何か。

 「小規模な病院では『自分はこの分野しかやらない』という人がいては、治療が成り立たない。患者を幅広い時間帯で受け入れ、医師が休みを取るには、仕事をカバーし合うことが必要だ。小規模な病院では、手に負えない重症患者は大きな病院に移せばいい。さまざまな症状に対応できる総合診療医の充実が重要になる」

 ―高齢化が進む中、地域医療は、どんな役割が求められるのか。

 「高齢患者の特徴は、高血圧など慢性的な疾患で通院し続ける人が多いことだ。完全に治すというよりは、病気を持ちながら生きていく人たちの支えになる必要がある。複数の病気がある人もおり、幅広い知識でケアできる総合診療医をより多く養成するべきだ。患者や家族と信頼関係を築くなど、地域に密着した医療に幸せを感じられる医師が増えてほしい」

 1950年生まれ、北海道早来町(現安平町)出身。北海道大医学部卒。砂川市立病院で院長を務め、6月に全国自治体病院協議会会長に就任。

 =第5部終わり=

東奥日報社