「敷地内薬局」問題に歯止めかからず――日薬・会長会 9月までの誘致状況、33都道府県・64件に増加

2018.10.01

「敷地内薬局」問題に歯止めかからず――日薬・会長会 9月までの誘致状況、33都道府県・64件に増加
2018.09.28 薬事ニュース 



 日本薬剤師会は9月22日、都道府県薬剤師会会長を集めて昨今の薬局・薬剤師を取り巻く動向などを協議する「都道府県会長協議会」(会長会)を金沢市内で開いた。

日薬執行部は会合に、医療機関の敷地内に薬局を開局する、いわゆる「敷地内薬局」の状況を調べた結果を提示した。

9月までの誘致事例として33都道府県・64件(前回調査28都道府県・48件)を把握できたと説明。
特に国公立病院で増加傾向にあったことも報告した。

調剤基本料の減算措置を講じた2018年度調剤報酬改定以降も、「敷地内薬局」の開設に歯止めがかからない状況に対して、同日の会長会では都道府県薬の会長から、日薬の強いリーダーシップで阻止するよう求める声があがった。



■敷地内薬局の誘致、特に国公立病院で増加
 「敷地内薬局」の問題を巡って日薬では、医療機関からの経済的・構造的・機能的な独立を前提とする医薬分業の推進に逆行するとして、一貫して反対の姿勢を表明してきた。

厚生労働省でも「敷地内薬局」の備える機能を疑問視し、2018年度調剤報酬改定では、特定の医療機関と不動産取引など「特別な関係」をもち、その医療機関からの処方せん集中率が「95%」を超える薬局に対して、「特別調剤基本料」(10点)を適用する措置を講じた経緯がある。
 
日薬は都道府県薬の協力を得て、9月までの「敷地内薬局」の誘致状況について引き続き情報収集を実施。

33の都道府県で64件(うち15件は病院による公募などの情報を確認していないが、都道府県薬として情報を入手しているケース)の誘致事例を確認できたと報告した。

前回調査時の28都道府県・48件から、6都道府県16件増加していた。
内訳は「国公立病院」が23都道府県・30件(前回=15都道府県・19件)、「公的病院(日本赤十字病院など)」8都道府県・8件(前回と同じ)、「社会保険病院」ゼロ(前回=1都道府県・1件)、「民間病院などその他(診療所除く)」15都道府県・26件(前回=16都道府県・20件)だった。
 

会長会では東京都薬剤師会の石垣栄一会長が、「敷地内薬局」誘致の可能性を否定できない動きを見せる東京大学医学部付属病院に、都薬として「断固反対の意思を伝える」内容の意見書を提出したと報告。

「基本的にオール薬剤師会として、同じ方向を向いて対応しなければならない」と各都道府県薬の会長に呼びかけたほか、日薬には「日薬のリーダーシップも期待したい」と求めた。

茨城県薬の根本清美会長も県内に「敷地内薬局」開設の動きがあると説明し、「必死になって阻止しようとしているが、県単位では全く抑えられず、淡々として話が進んでしまう」と訴えた。



■日薬・山本会長 機能に応じた調剤報酬上の評価「議論の俎上に載せる段階にない」
 一方、同日の会長会では、医薬品医療機器等法改正(薬機法)に向けた検討も議論になった。

薬機法の見直しに向けては現在、薬局の機能分化を進める方向性が俎上に載せられており、日薬会員の中には調剤報酬上への反映を懸念する声もある。

山本信夫会長は会長会で、「機能に応じた調剤報酬上の評価に関する議論は、私の認識では進んでいない」と改めて説明した。
 
厚労省は薬機法改正に向けた検討事項の1つとして、在宅医療に対応する薬局や「高度薬学的管理機能」を備える薬局などと機能分化を進め、地域の実情に合った医薬品提供体制を構築する「薬局の機能分担」を掲示。日薬でも地域ごとの「医薬品供給体制確保計画」(仮称)の策定を求め、国民・患者に対する薬局機能の「見える化」を進めていきたい姿勢を示す。


 こうした中で厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は9月14日に専門紙記者団の共同取材に応じ、「医科診療報酬でも特定機能病院など様々な区分があり、その区分に応じて診療報酬体系も決まっている。薬局の機能分類に向けた動向を注視しながら、それに応じた調剤報酬体系をつくっていくべきだろう」との見解を示していた。

 会長会では宮城県薬の佐々木孝雄会長が、制度部会での薬局・薬剤師議論について「一番エポックメーキングなのは薬局の機能分担だ。

総会などで何度も質問させて頂いているが、日薬として(薬局の)機能分化を積極的に進めるつもりなのか」「報道では機能分化について、調剤報酬上の対応も必要と読み取れる発言が薬剤管理官から出ている。

日薬としては、どのように捉えているのか」などと質した。

 山本会長は「薬局の機能に応じた調剤報酬上の評価は、(薬事と医療保険とで)議論の建て方が別なので、私の認識では進んでいない」と回答し、「薬事と保険は別の話」と改めて強調。
さらに、「前薬剤管理官(中山智紀氏)や田宮薬剤管理官との公式・非公式の話を踏まえても、そのような議論については、まだ俎上に載せる段階には至っていないという認識を持っている」と説明した。
その上で、2040年を見据えた地域の医療提供体制のあり方を巡る議論に向けて、「薬局・薬剤師の姿を今のうちに法律の中で規定していく先を見据えた議論が進んでいる」とも語った。