香川の医療最前線(408)小豆島中央病院外科・診療部長 石井泰則氏 島しょ部医療 官民の協力で環境向上 ドクターヘリが有効 

2018.09.20

 香川の医療最前線(408)小豆島中央病院外科・診療部長 石井泰則氏 島しょ部医療 官民の協力で環境向上 ドクターヘリが有効 
2018.09.16 四国新聞


 近年、医療の専門化や医師偏在などによって、地域医療を担う医師の不足が深刻さを増している。瀬戸内海の多くの島々でも同様に住民らを悩ませている。小豆島中央病院の石井泰則外科・診療部長に島しょ部医療の現状を聞いた。

 ―小豆島の医療環境は。

 二つあった町立病院が統合されて、2016年4月に小豆島中央病院が誕生した。常勤医は24人で、ほぼ全ての科を診療できる。ただ、高松からの勤務医師も多く、夜間は半数ほどになってしまう。夜間は当直医1人が対応し、搬送の待機医が1人、さらに補助として外科1人、内科1人が自宅待機する態勢をとっている。

 ―対応できない場合は。

 救急患者は1カ月当たり約400人を受け入れているが、重症例は高次医療機関に搬送しなければならない。早急な対応を要する心筋梗塞、大動脈瘤(りゅう)破裂、脳出血、多発外傷などがその対象で、月に15件ほど緊急島外搬送している。昼間は防災ヘリを利用することが多い。依頼から搬送まで約30分。船を利用するより1時間ほど早く搬送できるのがメリット。夜間や天候不良時にはフェリーか救急艇を利用しなければならないが、それぞれにデメリットも多い。

 ―重症患者の島外搬送は大変だ。

 搬送先病院の選定と搬送手段の確保を同時に整える必要がある。いかに短時間でこれらを処理し、必要な治療を並行して行うかが重要なポイントになる。小豆島では起点となる病院があるが、診療所しかない島や医師不在の島ではさらに苦労することになる。このような場合は医師、看護師が同乗したドクターヘリがあれば非常に有効だ。

 ―瞬時の判断、対応を求められる点は災害時医療と似ている。

 そうだ。多数の患者が発生した災害時には現場から拠点病院まで搬送し、そこでできる治療を行い、重症例は高次医療機関に搬送する。スムーズな連携が求められるのは島の医療と同じだ。こんな時に役立つのが災害派遣医療チーム(DMAT)の考え方。災害時に指揮命令系統を確立し、医療機関、消防、警察、行政機関、保健所などと連携を保ちながら、多くの患者の対応を行っている。

 ―災害対応を含め、今後の島の医療のあり方は。

 災害時にも強い医療体制を整えていかなければならない。そのためにもドクターヘリは必要。全国でドクターヘリがないのは3県だけで、香川はその一つ。災害時、防災ヘリは被害状況のチェックや物資輸送など多方面に活用され、救急だけに専属するわけにはいかない。南海トラフ巨大地震が発生した際、ドクターヘリは救助現場に派遣されるだけでなく、地域内、広域搬送になくてはならないものになるだろう。災害に対しては日頃からの備えが大切で、当院では年2回の訓練を実施している。県小豆総合事務所や保健所などと連携し、地域住民の協力も得ながら万一の事態に備えている。こうした積み重ねが、今後の島の医療向上につながると信じている。

◆いしい・やすのり 1986年岡山大医学部卒。同付属病院第1外科に入局し、広島市民病院、高知県四万十市民病院などで勤務。高知ではDMATとして災害医療を学ぶ。2016年4月から出身の小豆島に戻り現職。日本外科学会専門医、統括DMAT。57歳。

■ 小豆島中央病院外科

 消化器外科、呼吸器外科中心に診療を行っているが、地域医療を支えるため、心臓外科以外の外科治療はほぼ対応している。

所在地:小豆島町池田2060-1

電 話:0879(75)1121

https://scha.jp

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