上小医療圏の病床数再編 経営改善狙う東御市民病院 規模拡大には反発も

2018.09.10

上小医療圏の病床数再編 経営改善狙う東御市民病院 規模拡大には反発も
2018.09.06 信濃毎日新聞


 2025年に必要と推計される病床数を踏まえた上小医療圏での再編計画。病床数を2・5倍に増やす意向の東御市民病院は経営が厳しい状態にあり、今後、国や県が重視する在宅医療分野を積極的に担い、経営改善を目指す。適正規模を模索する厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンターと病床数を調整する考えだが、規模拡大には病院関係者の反発もあり、実現のハードルは低くなさそうだ。

 上小医療圏の既存病床数は17年10月現在で2027。今年3月策定の第7次県保健医療総合計画の基準病床数1840を187超過しており、医療法では本来、増床が認められない。東御市民病院が着目したのは同法の特例措置。複数病院間で連携して役割を再検討するなどした場合、特定の医療機関の増床を認める仕組みだ。

 県地域医療構想が示している25年の上小医療圏の必要病床数は1764。救急や集中治療向けの高度急性期などが17年比で約4割減る一方、回復期と慢性期は約2割増えると推計。東御市民病院は「市内には回復期、慢性期の病床機能が不足しており、市民の7~9割が市外の医療機関を受診している」と説明する。

 一方、鹿教湯病院、三才山病院も国の求めで作った「公的医療機関等2025プラン」で、中山間地にある立地や公共交通の衰退、医療従事者の確保の難しさを挙げた。「人口減で病床数は過剰になる」とし、近隣の公立病院と連携を模索するとしていた。

 県内で「増床の動きは目立っていない」(県医療推進課)が、東御市民病院が検討せざるを得ないのは、経営環境の厳しさからだ。

 前身の東部町立ひまわり病院が開院した1994年以来、医師不足を背景に医業収入の伸び悩みなどで赤字が積み上がり、市の一般会計から年3億~4億円規模の繰り入れを続け、15年度の累積赤字は9億2300万円に上った。16年度に資本金を減資して累積赤字を解消したものの、繰り入れに頼らざるを得ない構造は変わっていない。

 4日に開かれた地域医療構想の調整会議で、東御市民病院の結城敬院長は「60床規模では大きな治療は難しい」と増床計画に理解を求めた。これに対し、出席した民間病院の関係者を中心に「病床増の根拠が分からない」「公立病院の病床増は(民間病院の)存続にかかわる」といった意見が続出した。県医療推進課は取材に「一般論として増床のハードルは高い」としつつ、今後の調整会議の議論を見守る姿勢だ。

 県内では、東御市民病院のように経営が厳しい公立病院は少なくない。10医療圏ごとの病床数などの見直しでは、民間病院を含めて利害が対立し、難航も予想される。

   (古志野拓史、篠田祐貴)