福岡県/鞍手町 医師確保や建て替え 医療拠点の行方注視 くらて病院/筑豊

2018.09.04

福岡県/鞍手町長選 9月9日投票=医師確保や建て替え 医療拠点の行方注視 くらて病院/筑豊
2018.09.02 

 鞍手町で唯一、20床以上の入院施設がある地方独立行政法人「くらて病院」(中山)。官製談合事件で逮捕された前町長による人事介入などを理由に、今春、常勤内科医6人全員が退職し、入院患者は減少、医師確保が課題となっている。施設の建て替え問題も事実上、宙に浮いた状態となっており、町民は地域医療の拠点施設の行方を注視している。

 「何回も同じ大学に足を運び、頭を下げて、お願いすることで、やっと紹介してもらえる」

 8月下旬、くらて病院の河野公俊理事長は記者会見で医師確保の苦悩を明かした。昨年8月に就任して以降、九大や久留米大、産業医科大などを回っている。「前町長による病院介入が報道され、大学には医局員をやりたくないとの警戒感もあった」(同病院関係者)という。

 現在は、河野理事長らが非常勤で診療を行っているが、来春には週5日勤務の常勤内科医4人がそろう見通しだ。入院患者の受け入れ態勢はある程度整う一方で、需要の多い透析を診療できる医師の不足は解消されていない。病院の本年度の収支見込みは収益37億2千万円、単年度損益1億1800万円の黒字だったが、患者数の減少に伴って収益が押し下げられ、3億円強の赤字となる見通しだ。

 くらて病院は炭鉱の病院として始まり、町立病院を経て地方独立行政法人に移行した。

 町は老朽化などを理由に移転新築を計画し、昨年2月に策定した「くらて病院整備基本構想」で、5候補地の中から町立野球場(小牧、約2万1200平方メートル)を建て替えの移転候補地に選定した。

 町は工事費や設備などで総事業費は概算で約65億円、財源の半分は過疎対策事業債を見込んでいる。河野理事長は「20年度の新病院の完成に向けて準備していく」と語る。ただ、構想では本年度当初から予定した造成工事は始まっていない。

 通院患者の女性(83)は「普通に安心して通えるくらて病院であってほしい」と話す。 (座親伸吾)

西日本新聞社