社説/本県の医師育成/地方志向に応える仕組みを/地域枠の定着に期待/発信したい教育環境

2018.08.30


社説/本県の医師育成/地方志向に応える仕組みを/地域枠の定着に期待/発信したい教育環境
2018.08.28 宮崎日日新聞 


 本県にとって若手医師の育成と定着が最重要課題になっている。2018年度スタートした新専門医研修制度で県内医療機関が受け入れたのは37人と全国最少。県や大学などが医師確保に取り組む中、厳しい現状が突きつけられた。医師や医療機関の偏在、医師の高齢化が深刻となり、特に中山間地域では医療体制の維持さえままならない。安定した地域医療をどう存続させるか知恵を絞り、実効性ある処方箋が求められる。

地域枠の定着に期待

 厚生労働省が隔年で行う医師・歯科医師・薬剤師調査結果(16年12月末時点)は本県の課題を如実に物語る。医師数は2754人で微増しているものの、人口10万人当たりの医療機関に従事する医師数は238・4人と全国平均を下回る。2次医療圏別では偏在化が顕著で、最多の宮崎東諸県と最少の西都児湯では約2・7倍の開きがあった。平均年齢の52・2歳は全国平均50歳を上回っていた。

 医療は県民の健やかな生活、豊かな産業の基盤だ。全ての県民があまねく医療の恩恵を受け安心して暮らすため、格差の解消は地域社会の責務と言える。

 もちろん手をこまねいてきたわけではない。宮崎大医学部は06年度から地域枠を設け、18年度まで計116人が地域枠で入学した。地域枠入学者が卒後臨床研修に入った12年度以降は県内に在籍する研修医の数が軒並み増加し、今後に希望をつなぐ。地域枠入学者の約7割が地元に定着するという厚労省の調査結果もある。

 また、医学部生を対象にした交流会、セミナーなどさまざまな誘致活動を展開。11年度には県地域医療支援機構が組織され、県、同大学、県医師会、市町村による“オール宮崎”体制を整えた。

発信したい教育環境

 同大学医学部医療人育成支援センターの小松弘幸教授は「宮崎は組織間の垣根が少なく、大学と県内病院が連携しながら卒前教育・臨床研修・専門医養成の約10年間を一貫してサポートできる。組織だけではなく実際にオール宮崎で、若手医師の成長を見守っていける」と強調。大学病院と市中病院を行き来する双方向性の臨床研修は全国でも珍しいという。

 「宮崎を拠点に、国際レベルの仕事など質の高いキャリアも積める」とも。今月、宮崎市で開かれた「宮崎から医師を目指そう! フォーラム」=写真=でも拡充された学内教育施設や教育プログラムを説明し、医学部志望の高校生たちに熱いメッセージを送った。

 厚労省が16年末に行った調査では、勤務医や開業医の4割超が都市部以外の「地方」で働く意思を持ち、特に20代勤務医は6割と意欲が高い。希望する人が地方で働き続けるための仕組みづくりがさらに求められる。会員制交流サイト(SNS)での情報発信に加え、男女ともに働きやすい環境を整え、若い世代の不安を払拭(ふっしょく)することも必要だ。