とちぎ発/新小山市民病院5年/負託に応える経営維持を

2018.08.28

論説/2018.8.25/とちぎ発/新小山市民病院5年/負託に応える経営維持を
2018.08.25 

 新小山市民病院が地方独立行政法人に移行して5年が経過した。移行前は赤字続きで小山市から補填(ほてん)を受ける状況が続いていたが、移行後は黒字経営を維持している。市民の生命、安全を守る責務があるだけに健全経営は不可欠で、引き続き市民の負託に応える経営が求められている。

 移行前の同病院は、診療報酬の請求漏れがあるなど、業務遂行に不十分な側面があった。そのため移行後まず取り組んだのは、財務内容改善に向けた経営改革だった。院内に経営改革推進本部を設け、病院長をはじめ幹部職員が週1回、経営戦略や診療体制の改善策などを検討し、さまざまな課題に対処している。

 一方、医療サービスに関しては市民ニーズが高い救急医療体制を充実させた。「断らない救急医療」を掲げ、内科、外科、循環器、脳卒中の4部門当直体制で24時間365日対応している。救急車搬送受け入れ数、救急入院患者数は毎年増え続け、いずれも計画を大きく上回る状況だ。さらに人間ドックなど検診部門にも力を入れ、医業収益を伸ばしてきた。

 これまでは、他病院が実施していることを取り入れ、自らに不足していた部分を補うことで収益が上がった面もある。今後は、民間企業的な思考で、現状を分析して課題を探り、データに基づいた経営戦略を策定していく必要がある。そうした要求に応えられる柔軟な発想ができる人材育成も急務だ。

 同病院は、患者本位の地域完結型医療の実現を目指している。2016年には近隣3市2町の14病院でつくる「小山市近郊地域医療連携協議会」を立ち上げ、医師や看護師、事務部門など多重的に情報を交換、共有し、さまざまな連携を取り合っている。

 開業医など地域の医療機関との連携も深め、患者を紹介する逆紹介も積極的に進めた。逆紹介率は独法化前の12年度は43%だったが17年度は74%となった。連携は一定の成果を出していると言えるだろう。

 一方で、救急搬送者数の増加などに伴い医師や看護師の労働過重の問題も今後の課題になるだろう。評価委員会もその点を懸念している。二次医療機関として地域の他医療機関との機能分担をより明確にするとともに、さらに連携を強化し、地域に根ざした「市民病院」を確立してほしい。

下野新聞社