がんセンター赤字転落/運営見直し黒字化目指せ

2018.08.27

論説/2018.8.22/とちぎ発/がんセンター赤字転落/運営見直し黒字化目指せ
2018.08.22


 地方独立行政法人(独法)県立がんセンター(宇都宮市)の2017年度決算が、1億700万円の赤字となった。16年4月から、より経営の自由度が上がる独法に移行し、初年度は黒字となったものの2年目で赤字に転落した。

 中期計画(16~20年度)では各年度において経常収支の黒字化を目指している。県民が求める高度で専門的ながん医療を安定的に提供するためにも、これまで以上に業務運営を見直し、改善と効率化を進める必要がある。

 同センターは、県内唯一のがん専門病院として1986年に開設された。全8病棟に291床ある。

 17年度の赤字の最大の原因は入院患者数の減少である。6万561人で、前年度比5934人減となった。病床利用率は57・0%で、前年度より5・6ポイント下がり、目標としていた75・3%にはほど遠い結果となった。

 がん医療が入院中心から外来中心に移行していることや、一部の診療科で医師が退職したことなどが響いた。病床利用率の向上は病院経営の重要な部分といえる。同センター評価委員会からは、身の丈にあった病院経営の観点から、病床数削減の検討を求める声もあったという。真摯(しんし)に受け止めたい。

 収入は99億7700万円で、前年度よりも1億1200万円増えたことは評価したい。外来患者の増加などが影響した。その一方、支出は100億8400万円で3億2800万円増えた。収入以上に支出が増えれば赤字化は当然といえる。高額医薬品の使用量増に加え修繕費や委託費などの増加によるものという。

 公立病院には民間病院にできない医療に取り組む使命がある。それは必ずしも収益を伴うとは限らない。医師が確保できたことで今年4月に再開した希少がんに対応する骨軟部腫瘍・整形外科などはその一例といえる。

 また、中期計画で掲げられた「質の高い医療の提供」「患者・県民の視点に立った医療の提供」「地域医療への貢献」などは17年度、計画通り実施し一定の評価が得られ、がんの中核病院としての機能を十分に発揮した。

 独法化によって医療環境の変化に即応した柔軟な病院経営が可能になるとされている。そうしたメリットを生かして経営の健全化に取り組んでほしい。 

下野新聞社