県譲渡の病院、医師ら大幅減 旧七沢病院、計画変更し始動 /神奈川県

2018.08.03


県譲渡の病院、医師ら大幅減 旧七沢病院、計画変更し始動 /神奈川県
2018.08.01朝日新聞



 県が県立病院再編の一環で2016年度末に閉鎖した厚木市の旧県立七沢リハビリテーション病院脳血管センター(七沢病院)を譲り受けた医療法人が、医師らスタッフが当初計画より大幅に少なく、病床数も減らして1日に病院をオープンすることになった。このため県が開設に条件をつけるなど、異例の展開になっている。


 旧七沢病院(245床)は、脳血管疾患の患者らが急性期を脱し、在宅復帰を目指しリハビリを行う「回復期」病床だった。

 県が16年に定めた地域医療構想では、県央地区で回復期リハビリ病床が不足すると推計。黒岩祐治知事が16年9月の県議会で、閉鎖される七沢病院の機能を担う民間病院の誘致方針を示していた。県は同年11月から譲渡先の募集を開始。川崎市で社会保険病院の譲渡を受けた実績がある全国展開の医療法人社団「葵会」(本部・東京)のみが手を挙げ、県と契約を結んだ。

 回復期病床は医師数によって「一般」と「療養」とに分かれ、「療養」は少ない医師数で運営出来る。

 県と葵会によると、葵会は契約前、新病院を医師17人、看護師90人、理学療法士と作業療法士、言語聴覚士計112人などで運営すると県に説明していた。

 だが今年5月、県の許認可を前に「医師が集まらず、当初は患者数も少ない」などとして、まず療養病床で開設し、段階的に医師を増やして将来的に一般病床にする方針を示した。その後、医師3人、看護師40人、理学療法士11人などと、当初の説明より大幅に少ない陣容を県に示した。

 旧七沢病院は一般病床だったため、県は「療養病床のままでは旧七沢病院を引き継ぐことにならない」として、1年以内に医師数を増やして一般病床に転換させるよう条件をつけて7月11日に75床での開設を許可。今後、葵会に毎月実績報告を求めるという。

 県央地区の医療関係者の間では「今後、少ない医師による病院運営が続くと、地域医療が手薄になる」との危機感も広がっている。

 30日夜に厚木市内であった地域医療に関する会議で、県や県央地区の医師会、病院関係者らを前に葵会は「医師確保に努め、来年7月には一般病床に転換させる」と理解を求めた。

 だが、医師会などからは「本当に確保できるのか」「療養病床で始めたら旧七沢病院の承継にならない」「なぜ県は開設を許可したのか」と異論が噴出。葵会が次回会議で、一般病床に転換させると何らかの形で確約することになった。

 県は「とにかく葵会に地域医療機関と連携を深めてもらい、一般病床へ確実に転換してもらうしかない」。葵会は「少しでも早く実績を積み重ねる必要があり、療養病床での開設に踏み切った」としている。(岩堀滋)