機法改正に向けて薬局の機能分化が論点に――厚労省・制度部会 日薬、「医薬品供給体制確保計画」の策定を提案

2018.07.18

機法改正に向けて薬局の機能分化が論点に――厚労省・制度部会 日薬、「医薬品供給体制確保計画」の策定を提案
2018.07.13 薬事ニュース 1頁 トピックス (全2,099字) 
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 厚生労働省の厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会が7月5日に開かれ、医薬品医療機器等法(薬機法)改正に向けた検討テーマの1つである「薬局・薬剤師のあり方」の議論に入った。厚労省は国策として進めてきた「かかりつけ薬局」に加え、在宅医療に対応する薬局や高度薬学的管理機能を備える薬局などと機能分化を進め、地域の実情に合った医薬品提供体制を構築していく論点を打ち出した。日本薬剤師会も厚労省案に沿った形で、地域ごとに「医薬品供給体制確保計画」(仮称)を策定する案を提示。乾英夫委員(日薬副会長)は会合で「薬局・薬剤師がどのような地域であっても、医薬品の供給体制を確保することを明確に打ち出す必要があり、そのためにも法令上の下支えが必要だ」と強調した。
■厚労省「地域の薬局間で必要な機能を分担」
 厚労省は同日の会合に示した論点の1つとして、地域における医薬品提供体制を確保するための薬局の体制整備を掲げた。在宅医療への対応をはじめ、地域で必要な医薬品が常に提供され、かつ薬剤師による薬学的知見に基づく指導が確実に実施できる体制整備を目指す。
 団塊の世代が全て75歳以上になる2025年に向けて「地域包括ケアシステム」の構築が進むなか、特に在宅医療の需要は大きく増えると見込まれるが、在宅医療に対応する薬局の大半は小規模薬局で占められており、無菌製剤処理や麻薬調剤などに対応できる薬局は限られている。こうした中で厚労省は、個々の薬局ごとに体制整備を図るのではなく、地域の薬局が連携しながら役割を果たす仕組みの必要性を説き、「地域の薬局間で必要な機能を分担するなど、効率的な提供体制について検討を進めるべき」と提言した。
 さらに、在宅医療だけでなく、抗がん剤の副作用対応や抗HIV薬の選択の支援といった高度な薬学的管理ニーズへの対応も重視した。特殊な調剤や退院時の支援、より丁寧な薬学的管理などを必要とする患者に対応するため、「地域の薬局に繋げることや、医療機関と密に連携を取りつつ、疾患領域に応じた高度な専門性などの機能を持つ薬局も必要」とした。
■日薬 薬機法上で薬局の再定義を「要指導・OTC薬を含む全ての医薬品を供給する機能を持つ施設」
 薬局・薬剤師代表の乾委員は会合に、日本保険薬局協会や日本チェーンドラッグストア協会との議論を踏まえて整理した日薬としての意見書を提示。昨今の医薬分業に対する厳しい指摘について「経営を優先する薬局が目立ったり、薬局業務に医薬分業のメリットを実感して頂けるように見えていなかった部分があるのは否めない。職能団体として、そのような状況を変えなければならない」との決意を語るとともに、厚労省が示した論点について「考え方の方向性は我々も同じであり、特に異論は無い」と話した上で、▽薬局の機能▽チェーン薬局のガバナンスのあり方▽「医薬品供給体制確保計画」(仮称)――の方向性について提言した。
 まず薬局の機能を巡り、現行の薬機法で薬局について「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所」と定義されている部分に触れ、「薬局は調剤のみに偏ることなく、要指導医薬品やOTC薬を含め、全ての医薬品や衛生材料などを供給する機能を持つ施設であること。また、地域包括ケアシステムの一員として、地域で多職種連携を図るように努める必要があることなどを、法律上明確に定義する必要がある」と主張した。
 また、薬局の定義を明確化するとともに厚労省案と同様、在宅医療に対応する薬局や高度薬学的管理機能を備える薬局など、各施設が持つ機能に応じて薬局を分類し、国民・患者が薬局機能の情報を容易に把握できるようにすべきと提案した。その上で、過疎地域や中山間地域などを含め、全ての地域の住民・患者への医薬品供給体制を確保するため、地域ごとの「医薬品供給体制確保計画」(仮称)の策定を訴えた。計画の策定に当たっては、医療計画や介護保険事業支援計画との整合性を図る必要性も指摘した。
 乾委員は会合で「薬局・薬剤師がどのような地域であっても、医薬品の供給体制を確保することを明確に打ち出す必要があり、そのためにも、法令上の下支えが必要と考えている」と強調し、「地域包括ケアシステム」の構築に向けて「薬局・薬剤師は目の前の患者が使用する全ての医薬品について責任を持つという考え方のもと、今一度襟を正して今まで以上に患者のために頑張っていきたい」と意気込みを語った。
■日医・中川副会長 日薬の提案「率直に言って甘い見通し」
 会合では中川俊男委員(日本医師会副会長)が「地域医療の提供体制に加わり、『地域包括ケアシステム』の構築に向けて頑張っていくのに、法令上で明確に規定しなければならないのか」と日薬の提案を疑問視した。これに乾委員が「法令上で明確にした方が実効性も上がる。特に山間・僻地などでの医薬品供給体制を確保するには必要ではないか」と反論したものの、中川委員は「あのような方向性で薬局・薬剤師のあり方を見直せば分業のあるべき姿に戻れるというのは、率直に言って甘い見通しではないか」と厳しい発言を残した。