〈全国国立大学法人病院検査部会議〉検査データの質とガバナンスを/医療情報活用へ課題

2018.07.12

〈全国国立大学法人病院検査部会議〉検査データの質とガバナンスを/医療情報活用へ課題
2018.07.11 Medical & Test Journal



 第65回全国国立大学法人病院検査部会議は6月7日、九州大学で開催された。「医療情報データベースにおける臨床検査データの重要性」をテーマにシンポジウムが行われ、薬剤副作用の検知用データベース「MID-NET」の概要や、臨床検査コードマスターとして使用されている「JLAC10」の課題などの報告があった。

 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンターの中島直樹氏は、2018年度から本格稼動した「MID-NET」の概要や進捗状況を紹介した。医薬品の副作用は、自発報告だけでは実態がわからず、発生頻度の計算が難しいなどの課題がある。MID-NETは、選定された10医療機関が保有する患者の医療情報を網羅的に収集し、医療情報データベースを構築するもの。約400万人分の処方や病名、検査結果情報などのデータベースを整備することで、医薬品の副作用の検知など医薬品の安全対策や公益性の高い調査や研究に活用できる。11年度から医薬品医療機器総合機構(PMDA)が主体となって整備し、18年度から本格稼働した。

 中島氏は、データベース構築の過程に、医療情報の交換や共有のための規約「SS-MIX2(Standardized Structured Medical Information eXchange)」があると説明。SS-MIX2では、検査結果について臨床検査のコードマスターJLAC10を用いることになっている。JLAC10を用いることは、MID-NETのデータの質や、地域医療連携やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)で活用するデータの質の担保につながると解説した。

 参加者からは、MID-NETにおけるJLAC10からJLAC11への移行について質問が挙がった。これに対し、臨床検査項目標準マスター運用協議会長の康東天氏(九州大学)は、「JLAC10の裏で、JLAC11を並行して使っていくシステムにしていく予定。最初は2~3の医療機関で、そこから10医療機関に広げていく方針だ。JLAC10からJLAC11に一気に変えることはできないため、数年はかかるだろう」と話した。

●JLAC10の課題を紹介

 九州大学病院の堀田多恵子氏は、臨床検査データソース利活用に伴うJLAC10の課題を解説した。

 JLAC10は、<1>分析物(5桁)<2>識別(4桁)<3>材料(3桁)<4>測定法(3桁)<5>結果識別(2桁)の5つの要素・計17桁のアルファベットと数字で示されるコード。医療機関から検査センターへ外注する場合に、依頼内容と結果をつなぐために使われてきた。堀田氏は、JLAC10は医療機関と検査センターの1対1の関係の中で使われてきたが、近年は、MID-NETのように複数の医療機関のデータを統合処理するシステムでも活用されるようになり、それに伴う課題が出てきたと説明した。

 JLAC10の課題としては、「材料、測定法コードが複雑」「コード表が頻繁に改定される」などがあるが、これらはガバナンス(統合)をすれば解決できる。しかし、ガバナンスをしても解決しきれない問題として「粒度が足りない(原理方法では同じコードになるが、実際は検査値の分布が異なる)」と「単位が表現できない」の2つが残ると指摘した。

 医療機関内でのJLAC10の運用については、「臨床検査は機器や試薬の変更により影響を受けるが、変更のタイミングでJLAC10のメンテナンスがされていない」「検査部と医療情報部の連携が十分でない」などを課題に挙げた。また、MID-NETの協力医療機関では、「外部委託の検査データの管理をしていない」「JLAC10コードをつけたが、履歴の管理まではできていない」などの課題が出ている。

 これらの課題の解決に向けて、九州大学では、日本医療研究開発機構(AMED)の研究で、「JLACガバナンスセンター」を仮設置。2~3のMID-NET協力医療機関の検査室と連携し、データの品質改善を検討していると紹介した。

 JLAC11については、パブリックコメントを終了し、19年度にコード表を公表する。その後5年間は、JLAC10との併用期間とする予定になっている。