インサイド記者の目 来秋開院、筑西・県西部メディカルセンター 医療人材の確保、課題

2018.07.09

インサイド記者の目 来秋開院、筑西・県西部メディカルセンター 医療人材の確保、課題
2017.10.29 


■医師教育センター構想も

筑西市の大塚・深見地区で建設されている新中核病院「県西部メディカルセンター」は、2次救急を主な役目とし、「地域の中核病院」の特長を兼ね備える。医師の教育センターなど特色ある構想が描かれ、人材確保や住民周知など、2018年10月の開院に向け、準備が進む。市医療監で同病院長に就任する予定の梶井英治氏(66)に話を聞きながら、新病院の具体像を探った。 (筑西支社・冨岡良一)

■主に2次救急

新病院は2次救急を担うのが主な役目になる。救急車で運ばれてくる入院患者を多く受け入れるため、外来はかかりつけ医などからの紹介状を持った患者が中心。入院は短期で、退院後は地域のかかりつけ医などに積極的に紹介する。

脳卒中や心筋梗塞などの患者の大部分や、交通事故の多発性外傷などは3次救急の対象で、集中治療室(ICU)のある筑波メディカルセンター病院(つくば市)などに運ばれる。新病院の性格について自治会や民生委員を通して集会を開き、地域住民に周知する関係者の努力が続く。

筑西、桜川、結城、下妻、八千代の5市町で構成される「筑西・下妻医療圏」の2次救急を担う病院は現在、新病院に統合される筑西市民病院と県西総合病院のほか、協和中央病院▽結城病院▽城西病院▽平間病院-の4病院。新病院が、他の4病院と異なる点は文字通り「地域医療の中核」を担う点だ。具体的には「地域医療支援病院」の承認を目指すという。

■在宅医療

統合される筑西市民病院跡(同市玉戸)には、在宅医療を中心とした新診療所が開設される。在宅医療は「自宅でみとりたい」という人たちのニーズの高まり、価値観の多様化に応えるものだ。運営者は新中核病院と同じ地方独立行政法人「県西部医療機構」。診療所の整備方針は、既存の建物を活用し費用をなるべく使わないことや、在宅医療を中心に外来も一部対応することなどで、15年12月に策定された市の基本計画で決まっている。医師は3人程度。総合診療科の設置が検討されている。

地域の訪問診療や訪問看護、訪問リハビリを担うセンターの設置も想定され、梶井氏は「待つ医療でなく、どんどん出掛けていく。医療を超えて健康維持・増進、病気予防などの啓発に取り組む」と意欲的だ。

■有意な「教室」

新病院は、医療人の育成を掲げる。梶井氏は「医学生や研修医を積極的に引き受けて育成を図る。筑波大と自治医科大に、教育センターの開設をお願いしている」と語る。同じ母体で運営される新病院と新診療所は、医学生らに経験を積ませる上で有意な「教室」となる。教育センター開設のメリットは人材確保にも直結しそうだ。病院の医師が医学生・研修医らの指導教官となるため「病院で働く医師のモチベーションが上がる」(医療関係者)。

しかし医療人材の確保は全国的に厳しい。梶井氏は「開院時点での250床の開棟は難しい。フルオープンをいつにするか、見極めも必要」とし、病院機能のスタートは人材確保の状況に応じ段階的になる可能性をにじませた。新病院の特長を十分に生かし切れるように、受診のために紹介状が必要になることなど、新病院の性格について地域に周知する地道な作業も引き続き求められる。

★筑西・桜川両市の新中核病院問題

県が2009年に公表した公立病院改革に始まる筑西市民病院(筑西市)と県西総合病院(桜川市)の再編に、山王病院(同市、医療法人隆仁会)を加えて統合し新病院を造ろうとした一連の動き。紆余曲折の議論を経て、筑西市民病院と県西総合病院を統合し2次救急を担う「県西部メディカルセンター」(筑西市、一般病床250床)と、1次救急を担う「さくらがわ地域医療センター」(桜川市、一般病床80床)=指定管理者・医療法人隆仁会=の2病院を開設する形で収束した。


茨城新聞社



 リポート2018 10月開院 筑西・桜川の2病院 公共交通「直結」なし
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■慢性患者の負担増も

地域の救急医療の充実を目指し、県西部メディカルセンター(筑西市大塚)とさくらがわ地域医療センター(桜川市高森)が10月開院する。病院整備の一方で、市民の足となる公共交通機関の準備に注目が集まっている。差し当たり両病院間を直接結ぶバス路線は開設されずスタートするが、課題も浮かび上がる。新病院による独自のバス運行も検討されている。 (筑西支社・冨岡良一)

■再編

合併し県西部メディカルセンターになる筑西市民病院(筑西市玉戸)と県西総合病院(桜川市鍬田)は現在、共に救急車で搬送される患者などに対応する2次救急医療の病院だ。県西部メディカルセンターは2次救急に、山王病院(同市岩瀬)が衣替えするさくらがわ地域医療センターは初期救急に集中する。2次救急医療の病院は桜川市内になくなることから、二つの病院は強い連携のもとで運営される。県西部メディカルセンターの中期計画では、新2病院間の診療の紹介、逆紹介の比率の達成目標も設定される予定だ。

新2病院の整備推進に伴い、市民の足となる公共交通の準備が進められている。筑西市はJR下館駅-筑波山口(つくば市沼田)間のコミュニティー・バスを県西メディカルセンターに、桜川市もJR岩瀬駅-筑波山口間のバスをさくらがわ地域医療センターに経由させる路線変更を行う見込み。さくらがわ地域医療センターはJR大和駅まで数百メートルの場所にあり、JR水戸線を利用できる。県西部メディカルセンターはJR下館駅まで約5キロ離れており、車による利用が主になると考えられている。

■温度差

閉鎖される旧3病院の医師は今後、入院や通院する患者に対し、新2病院への対応の振り分けを本格化する。特に焦点となるのは、慢性疾患の患者への対応だ。県西総合病院には現在、腎臓病で人工透析を受ける患者が約50人いるという。人工透析を行える個人病院は現在、桜川市内にない。県西部メディカルセンターに通院する場合、患者によっては負担感の増す可能性もある。

新2病院間を直結するバス路線の実現について、桜川市企画課は「今のところ検討していない。差し当たり、さくらがわ地域医療センターへの市内のアクセス確保を優先し進める」とする。一方、筑西市企画課は「開設できればと考えているが、具体化はしていない。桜川市に対し働き掛けを続ける」とし、両市の関心に温度差がある。

■独自対応

桜川市は中山間部の地域を抱え、JR水戸線沿線から離れた真壁地区の公共交通網の維持に、特に注力しなければならない事情がある。また同市は筑西市に比べ、既存コミュニティー・バス路線の就便数も多く、需要予測の難しい新路線の開設には慎重だ。両市ともデマンド・タクシーを運用するが、共に市外への越境乗り入れは行っていない。民間のタクシー会社への配慮で「民業圧迫」を避けるためだ。

県西部メディカルセンターの開院準備を進める関係者は、自治体の動きを待たず対応策を探る。筑西市中核病院整備部は「病院の振り分けで患者に不安を与えぬよう最大限の配慮をしたい。病院独自で判断した方が動きやすい。同センターの運営母体となる地方独立行政法人が、需要に応じてバスを走らせる方法を探りたい」と話し、開院後の独自対応に意欲を示した。



茨城新聞社