社説 〔富山逓信病院の譲渡〕 まちなか医療の充実に期待 2018.7.1 

2018.07.04

社説 〔富山逓信病院の譲渡〕 まちなか医療の充実に期待 2018.7.1  
2018.07.01 


 富山市中心部の鹿島町にある富山逓信病院が来年4月、運営会社の日本郵政(東京)から同市に譲渡されることになった。7月上旬に基本合意書を交わした上で、年内をめどに譲渡に関する条件を確定する予定であり、まちなかの医療体制の充実・強化につながることが期待される。

 日本郵政は2015年に東証1部に上場して以降、収益力を高めるために不採算部門の病院事業を整理してきた。14年に全国14カ所にあった逓信病院は順次、譲渡や廃止の対象となり、昨年も札幌、横浜、徳島の3病院が地元の医療法人などに譲渡された。現在は富山、東京、名古屋など6病院があるが、自治体に譲渡されるのは今回が初めてのケースとなる。

 富山市が逓信病院の取得を決めたのは立地の良さが理由だろう。市民病院が中心部から比較的離れているのに対して、逓信病院は中心商店街に近接し、市内電車の電停も近い。コンパクトなまちづくりを掲げ、まちなか居住の推進に力を入れている市にとって、市民病院の分院的な医療拠点を中心部に置けるメリットは大きい。

 富山市は昨年4月、中心部の総曲輪レガートスクエアに地域包括ケアシステムの拠点となるまちなか総合ケアセンターを開設し、まちなか診療所も設けた。ただ、まちなか診療所は訪問診療による在宅医療を基本にしており、原則として一般外来診療には対応していない。

 一方、富山逓信病院は現時点で内科、外科、整形外科、婦人科、眼科の5診療科を有し、一般外来診療に加え、リハビリテーションや人間ドック、各種健診業務を行っている。富山市は取得後も医師や看護師らの雇用を継続し、現行の医療提供体制を一定期間、維持することにしている。まちなか居住で増えている高齢者にとっても、徒歩で通院可能な医療拠点が存続することは歓迎できよう。

 富山市は将来的に市民病院を高度専門や急性期医療、逓信病院を回復期や在宅医療に機能分担する方針という。まちなか総合ケアセンターも含めた連携によって新たな地域医療体制を構築できれば、全国でも例のない富山モデルとなる可能性がある。

北國新聞社