総合診療医 専攻ゼロ 県内 4月開始新制度 理解不足要因か

2018.06.13

総合診療医 専攻ゼロ 県内 4月開始新制度 理解不足要因か
2018.06.10 



 岩手医大の下沖収(しもおきおさむ)教授(総合診療医学分野)は9日、盛岡市内で講演し、4月開始の新専門医制度で、新たに養成が始まった総合診療領域を選択した県内の専攻医がゼロだったことを明らかにした。総合診療医への理解不足や、他領域に比べ医師像が捉えにくいことなどが影響したとみられる。高齢化や医師不足が進む本県で多様な疾患に対応できる総合診療医の需要は高く、その役割や魅力の発信が求められている。

 下沖教授によると、県内では同大のほか県立病院など計7機関で総合診療専門医の研修プログラムがあるが、いずれの機関も専攻医はゼロ。全国では専攻領域の19診療科で約8400人が専攻医登録をしたが、総合診療を選んだのは全体の2・2%にとどまった。

 総合診療医は病院のほか、地域保健や在宅医療など診療の場が多様なため、下沖教授は「特定診療科に比べて医師像が定まりにくく、分かりにくい」と考察。研修で内科やへき地での勤務が必須とされていることなども専攻医の不安を招いたのではないかと指摘した。

 ただ、医師不足の中で高齢化が進む本県では、幅広い疾患に対応でき、他領域の専門医や医療従事者らと柔軟に連携できる総合診療医のニーズは高い。岩手医大では昨年から、総合診療に関するゼミを開くなどし、学生の理解促進に取り組んでいるという。

 県内では常勤医不在の診療科を抱える病院もあり、下沖教授は「臓器や疾患を問わず、求められる診療、場に応じて柔軟に対応できる『総合診療マインド』が重要。本県では地域が総合診療の学びの場だ」と地域ぐるみで総合診療医を育てる重要性を強調した。

 講演を聞いた医師からは「総合診療専門医プログラムの見直しも必要ではないか」、「若手医師が岩手に残ってくれるよう、私たちも交流を持つことが大切だ」などの反応があった。

 下沖教授は同市で開かれた県地域医療研究会の創立60周年記念集会で講演した。

岩手日報社