国保病院独法化へ定款*広尾町議会*関連議案を可決

2018.06.12

国保病院独法化へ定款*広尾町議会*関連議案を可決
2018.06.08 北海道新聞 


 【広尾】定例町議会は7日開会し、町国保病院を地方独立行政法人に移行するための定款の制定や外部の専門家でつくる病院評価委員会に関する条例など議案7件を原案通り可決した。

 町国保病院は来年4月に独立行政法人に移行する方針で、定款の制定は行政手続きの第一歩となる。その後は町が4年間の中期目標を策定し、道知事の認可を受ける。病院評価委員会は、地方独立行政法人法で設置が義務づけられており、中期目標に関し、専門家の立場で意見する。

 町議会では、法人化後の収支見込みや認可の見通しを問う声が上がった。町側は道と事前協議を進めていることを明らかにした上で、「中期目標と同時進行で収支計画も作成している」(渡辺将人・町国保病院事務長)と答弁した。

 また、町は本年度で沼田隆明院長ら医師2人が退職する意向を示していることを挙げて、「独法化は経営を立て直し、未来に残すため」(田中靖章副町長)と説明。7月上旬をめどに住民説明会を開く考えも示した。

 このほか、町議会は本年度一般会計など9会計の補正予算案を予算審査特別委員会に付託し、休会した。会期は11日までの5日間。一般質問は8日に行う。

(大能伸悟)

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<十勝スコープ>広尾町国保病院 岐路に*財政危機で対症療法限界*道内初の独法化*信頼回復が急務
2018.06.04 北海道新聞

 【広尾】町国保病院が、岐路に立たされている。患者の減少などで経営状態が悪化し、町は2017年度から、一般会計繰入金を増額したが、財政危機の中で「対症療法」は限界に。村瀬優町長は4月中旬、病院の地方独立行政法人化を表明、同時に北斗病院(帯広)との業務提携にかじを切った。町長が理事長を任命することで「公設公営」を維持する一方、医療体制を充実させ、収益回復につなげる狙いだが、病院の経営改善には「職員の意識改革が欠かせない」との声も根強い。(大能伸悟)

 町国保病院は1960年に開設された。町内で唯一、入院病棟(48床)がある総合病院で、診療科は内科や外科、整形外科など8科。救急医療の中核も担い、「帯広市から80キロ離れたマチには不可欠な存在」(村瀬町長)だが、町民の「病院離れ」は加速している。

 17年度の患者数は入院が1万1362人で、外来は3万1086人。5年間で計9875人減少した。経営状態も悪化し、一般会計繰入金の4億円では収支不足に。16年度は金融機関からの一時借入金が9千万円に膨らんだ。町は17年度から、繰入金を増額し、借入金を減らしたが、患者が増えなければ、年間8千万円の収支不足になる見通しだ。

 「このままでは財政破綻する」。経営形態の見直しは、こうした危機感からだ。町は外部委員による答申を受けて「指定管理者」「民間譲渡」など五つの経営形態を比較し、「非公務員型」の地方独立行政法人を選んだ。理由はスタッフが公務員ではなくなり、連携病院との兼務が可能になること。その一方で、町長が理事長を任命するため、町の考えが反映されやすい。

 さらに、村瀬町長は北斗病院と業務提携の協議を始めた。新法人の理事長には鎌田一・北斗病院理事長を迎え、患者が多い整形外科の常勤医を派遣してもらうほか、看護師を増員し、診療報酬が高くなる「7対1看護」も目指す考えだ。村瀬町長は「民間譲渡は撤退の恐れがある。独法化で病院を維持し、医療の質を充実させる」と説明する。

 だが、公立病院の独立行政法人化は道内初。全国の先行事例も乏しい。町も「患者に信頼されていない」と認めるように、医療スタッフの意識改革がなければ、収支改善はおぼつかない。渡辺将人事務長は「形態見直しだけでなく、中身も変わらなければ」と語る。

 「看護師に笑顔がなく、邪険にされた」「診察もいいかげん」-。町豊似の60代女性はここ数年、町国保病院の悪評を聞く。自身も皮膚科にかかったが、「雰囲気が悪く、もう通院しない」と言う。患者の減少について、病院側は「人口減」「患者の専門病院指向」を挙げるが、この女性は「安心できないから」と断言する。

 町議会も議員研修を開き、5月下旬の議会報告会で町民意見を聞いた。病院を批判する声もあったが、ほとんどの町民は「病院をなくすわけにはいかない」と話した。町は6月上旬の定例町議会で法人設立の条例案を提出、その後は中期目標を策定し、19年度の独法化を目指す。