暮らし・健康*赤字続く市立函館病院 改革に着手

2018.06.05

<道南Today>暮らし・健康*赤字続く市立函館病院 改革に着手*函館市病院局・氏家良人局長(69)に聞く*経営改善へ専門チーム 3次医療はぬかりなく
2018.06.03 北海道新聞朝 


 函館市病院局が管理する市立3病院の昨年度末までの累積赤字は約32億円。中でも市立函館病院(函病)は赤字額の大半を占めている。函病は道南で唯一、重篤患者を24時間受け入れる3次医療機関でもあり、地域医療の根幹を担う。4月に市病院局に着任した氏家良人局長に、函病の経営方針と改革に向けた抱負を尋ねた。(横田望)

 --病院局に赴任して2カ月。函病の赤字が続く原因をどう見ていますか。

 「さまざまありますが、人件費や、カテーテルなど医療材料費も大きな要因です。職員の給与は勤務年数に応じて上がりますが、診療報酬はマイナス改定が続いています。また腹腔(ふくくう)鏡手術をはじめ、患者の負担が少ない治療には使い捨ての機器を使うことも多く、材料費がかかります。2030年まで毎年約8億円ずつ返済が必要な、建物の負債も重くのし掛かっています」

 --5月28日には病院局全職員の賞与カットで、労働組合と妥結しました。

 「昨年度は冬期間の利用が予想を上回り、市一般会計から函病に繰り入れが決まっていた2億円は必要なくなりました。5月の入院患者数は目標値を超える見込みのこともあり、団体交渉では、今後の経営改善への期待が労組から強く伝わってきました。職員の努力に応えるよう、今までとは違う改善策を提示していきたいですね」

 --改善に向けてどのような取り組みを進めますか。

 「1日に、医師や看護師、そして診療報酬などに詳しい事務職を中心に経営企画プロジェクトチームが結成されました。本来なら受け取れるはずの補助金や診療報酬の加算を取得するため、密に連携する専門チームです。昨年3月に策定した新病院事業改革プランでは、各部門で集まり、具体的に話し合うチームはありませんでした。人員配置を工夫するほか、幹部のアイデアの具体化に向けた検討や、広く意見を吸い上げる役割も期待しています。職員らの同意を経て、改革プランの見直しなど今後の方針を秋ごろまでにまとめる予定です」

 --函病は道南唯一の3次医療機関として高度な救命救急などを担っています。

 「救命救急センターには多くのスタッフが必要です。函病には現在、専従医が10人いるだけでなく、専任のソーシャルワーカーを置くなど、道内でも高水準の体制を整えており、重篤患者の受け入れだけで年間千人以上に達しています。採算が取れない部門ではありますが、地域医療を支える大切な役割の一つだと考えています」

 --岡山大では救急医療部門を立ち上げました。

 「18年前に岡山大で救急医療を始めた際、スタッフは私1人でしたが、院外の医師、看護師、消防の救急隊員らと積極的に交流し、助けられました。函館でも顔の見える関係を築くよう働きかけたいです。地域の他の医療機関などと連携を密にし、患者の受け入れ要請があれば積極的に引き受ける姿勢を大切にしていきます」

<略歴>

 うじけ・よしひと 1949年後志管内倶知安町出身。札幌医大医学部卒業後、市立函館病院などで研修した。札幌医大病院救急集中治療部の副部長や宮崎医大の准教授などを経て2000年、岡山大救急医学講座の初代教授に就任。高度救命救急センターの立ち上げなどに尽力し、13年には「救急医療功労者厚生労働大臣表彰」を受けた。