<インサイドSANDA>経営効率化へ三田市民病院 統合・再編待ったなし 水面下で進む「相手探し」 赤字の穴埋めは限界に

2018.05.29

<インサイドSANDA>経営効率化へ三田市民病院 統合・再編待ったなし 水面下で進む「相手探し」 赤字の穴埋めは限界に
2018.05.27 神戸新聞



 三田市民病院(けやき台3)の他病院との統合・再編に向けた動きが、徐々に進んでいる。経営に民間の視点を持ち込んだり、病院の規模を拡大したりして、国主導で公立病院の経営を効率化する動きが加速しているためで、三田でも2018年度中に一定の方向性が決まる見通しだ。(高見雄樹)


▼集まらない医師


 なぜ三田市民病院の再編や統合が必要なのか-。

 答えの一つは医師不足。同病院は神戸大医学部などから医師の派遣を受けている。医師が専門医などの認定を得るには一定の手術数が必要だが、それには入院患者向けのベッド(病床)数や手術室の数などが不足気味。同病院で働きたいという医師が減ると診療科を維持できず、市民が受けたい医療を提供できない悪循環に陥る。

 同病院の一般病床は300床。複数の病院を統合したり、医療機能を再編したりして400~500床クラスの総合病院になれば、医師と患者双方にとって魅力的な施設になる、と市はみている。ほかに病院の老朽化や手術室の拡大などに手を付けられていない状況も背景にある。


▼市税収入の1割投入


 三田市も財政面で市民病院を支えきれなくなっている。市は毎年、建設費の返済を含めて約18億円を一般会計から穴埋めする。この額は市税収入の1割に上る。「市民の税金を病院だけに投入できる限界を超えている」と担当者は明かす。

 統合・再編の議論と同時に、市は関与を弱め、病院経営の自由度を上げて財務の安定化を目指す。今後の姿を、地方公営企業(現状維持)▽地方独立行政法人▽指定管理▽民間譲渡-のいずれかにする選択肢を示し、3月に立ち上げた有識者会議で議論する。

 地方独立行政法人は公的な性格を残しつつ、自治体や公営企業のように1年ごとの「単年度予算」では運営しない。事業などで複数年の契約が結べるため、中長期の視点で病院経営の効率を上げられる。神戸市や加古川市がこの方式を採用している。

 公立病院の譲渡という激変は考えにくく、地方独立行政法人と、さらに民間運営に近い指定管理を軸に議論が進むとみられる。


▼高いハードル


 この議論と平行して、市は統合・再編の「相手探し」を水面下で進めている。

 県内を10地域に分けた保健医療圏の中で、三田市が入る阪神北医療圏(宝塚、伊丹市など)には、再編相手となりそうな病院は見当たらない。そこで市は、市民病院の利用者の大半を占める三田と旧有馬郡(神戸市北区や西宮市の一部)、篠山市を中心とした地域で探している。

 同地域には複数の大規模病院があるが、中でも三田市民病院は、小児科や周産期医療に強い済生会兵庫県病院(神戸市北区藤原台中町5)と連携関係にある。今年3月には、医師確保のための奨学金制度も共同で始めた。

 ただ医療圏をまたいだ統合は県内で例がなく、市の関係者は「別の医療圏の自治体や医師会と交渉するのは、相当ハードルが高くなる」と先行きの不透明感も指摘している。


▼近隣で統合相次ぎ出遅れ感も


 兵庫県内の自治体は既に公立病院の統合・再編を進めている。三田市の近隣でも、三木市と小野市が市民病院を統合し、2013年に北播磨総合医療センターを開設。川西市は市立病院と民間病院を統合し、新設する総合医療センターの指定管理者として民間に運営を任せる。公立病院の統合に国が財政支援をする期限が20年度に迫り、三田市に残された時間は少ない。

 尼崎市内では15年、県立2病院の統合で尼崎総合医療センターが発足。730床を備え、地域医療の中核拠点となっている。

 丹波市では、県立柏原病院と柏原赤十字病院が統合し、19年度上期に丹波医療センター(仮称)が開設される。姫路市でも県立と企業系の2病院が統合し、22年、はりま姫路総合医療センター(同)を開院する。

 一方、21年の新病院完成を目指す川西市の事例は、三田市も注目する。市人口は川西が約15万人、三田が約11万人。川西も市立病院(250床)に年間10億円の補助金を投じ、統合相手は民間病院だ。

 川西市は新病院の完成を待たず、来年4月から既存の市立病院を公設民営化し、統合相手の民間病院に運営を委ねる方針を示している。(高見雄樹)