〔集中連載〕がん患者が殺到する医院! がん制圧の法則

2018.05.17

〔集中連載〕がん患者が殺到する医院! がん制圧の法則/3 元京大医学部教授が提言 セカンドオピニオンの“現場”
2018.05.27 サンデー毎日

 ◇目からウロコ!


 京都市にある元京都大教授、和田洋巳医師(75)のクリニックには、“標準がん治療”の苦しさを訴える4期の患者が多数訪れているという。新たな「がん制圧の法則」を探る集中連載第3回では、驚くべき劇的寛解例、それを導いた治療の中身を語ってもらった。


 和田洋巳医師(75)が京都市内に開設した「からすま和田クリニック」の門を叩(たた)いた患者の延べ数は7年間でおよそ3000人にも上っている。大半は和田医師に救いを求める「がん患者」らで、窓口となるセカンドオピニオン外来での初診を経た後、個別的かつ最適な治療が開始される。

 一方、同クリニックの近くには、古い京町家を改修した「和田屋」がある。和田医師が私財を投じて開設した和田屋は、和田医師やクリニックのスタッフらの事務所兼研究室として使われているが、一部はクリニックを訪れる患者らが自由に集う「患者サロン」としても開放されている。

 前回と前々回で紹介したように、標準がん治療に根源的な疑問を抱いた和田医師は、その後、「がんをおとなしくさせる」ための戦略と戦術に辿(たど)り着いた。では、その結果、具体的にどのような劇的寛解例(注1)が続出しているのか。衝撃連載の第3回は、その“現場”にズバリ迫る。

   ※

―まずおうかがいしたいのは、患者はどのような動機でクリニックの門を叩くのか、という点です。

和田 初診はセカンドオピニオン外来で受けていただいておりますが、最もよく耳にするのは「抗がん剤治療がしんどいので何とかしてほしい」、あるいは「抗がん剤治療を勧められたがやりたくない」という訴えです。いずれも直面している事態は深刻で、私も責任の重さを痛感しています。

―とすれば、多くの患者が最終病期の4期(注2)ということになりますね。

和田 これまでにクリニックを訪れた延べ3000人のがん患者さんのうち、その半分にあたる1500人が「進行がん」の患者さんです。ハッキリいえば、初発巣以外の他臓器や遠隔リンパ節に転移のある患者さん、あるいは腹膜や胸膜、骨など全身にがんが広がってしまった患者さんで、要するに主治医から「治癒不能」や「余命」を宣告された末期の患者さんです。

―その場合、現に受けている抗がん剤治療をどうするのか、という問題が生じてきます。抗がん剤に対する和田先生のお考えは?

和田 抗がん剤は白血球を破壊し、免疫力を下げるとともに(注3)、がん自体に強力な耐性を与えてしまいます。そのため、ある抗がん剤が効かなくなると別の抗がん剤に乗り換えるという、患者さんが亡くなるまで続く過酷な乗り換え治療が行われていますが、標準がん治療で考えられているような延命効果があるかは大いに疑問です。したがって、耐性獲得によるリバウンドなどをもたらす抗がん剤治療はむしろがんを強くしてしまう矛盾した治療であり、少なくとも食生活の改善を抜きにした抗がん剤治療は「がんが住みにくい体をつくる」という私の治療戦略とは相容(い)れないものになってしまう、というのが基本的な考え方です。

―ということは、和田先生のところでは、抗がん剤治療は即座に中止するよう指導されているのですか。

和田 基本戦術は「断薬」ないしは「減薬」です。なぜ即座に断薬できないケースがあるのかといえば、例えばがんに勢いがある患者さんの場合、いきなり抗がん剤治療を中止してしまうと、抗がん剤に耐性を持ってしまったがんが一気に暴れ出してしまうことがあるからです。実際、私もそのようなケースを失敗例として何度か経験しています。ただし、徐々に減薬していく場合でも、患者さんがQOL(注4)をできるだけ高く保てること、具体的には患者さんが普通に日常生活を送れることを、基本的な指標としています。


 ◇4期患者2~3割に劇的寛解例


―ちなみに、徐々に減薬していく場合の抗がん剤治療は、和田先生ご自身の手で実施されるのですか。

和田 大半の患者さんは、それまで治療を受けていた大病院で診てもらいながら私のクリニックにも通院する、という方法を採られています。したがって、私自身が抗がん剤を投与することは基本的にありません。ただ、私が患者さんに抗がん剤の断薬や減薬を勧めた際、主治医から「そんなことをしたらすぐに死んでしまうぞ」「抗がん剤治療を受けないならウチではもう診ない」といった暴言を浴びせられる患者さんもおられるようです。このような場合、私は病院内にある地域医療連携室などの窓口に相談するようアドバイスしています。たいていの主治医らは窓口を通じての苦情を受けて矛を収めるようですが、中には「からすま和田クリニックにだけは行ってはいけない」などと、なおも患者さんに詰め寄る主治医もいるそうです。

―ところで、和田先生のクリニックで治療を受ける際の保険適用の可否はどうなっていますか。

和田 制度上、最初のセカンドオピニオン外来の受診は自由診療になります。そのほか、例えば患者さんが希望される場合、有効と思われるサプリメントなどを実費でご負担いただくことはありますが、それ以外はすべて保険診療で賄えるよう知恵を絞っています。患者さんの経済的負担をできるだけ軽くすべく、治療戦略の中核となる食生活の改善指導についても料金はいただいておりません。いわゆる混合診療の問題についても、クリニックの開設時に京都市の判断を仰いだところ、「患者ごとにカルテを自由診療と保険診療とに分ければ問題はないでしょう」とのことでした。

―それでは、和田先生が確立された治療戦略と治療戦術の結果、現実にはどれくらいの数の患者からどれくらいの数の劇的寛解例が出ているのでしょうか。

和田 ザックリいえば、開設から現在までの7年間に私のクリニックに来られた4期のがん患者さんが1500人、そのうちの2割から3割にあたる300人から450人の患者さんで劇的寛解例が見られた、という感じでしょうか。2割から3割とやや幅を持たせたのは、年々、治療成績が向上してきているためで、現時点では4期の患者さんの2割5分、つまり4分の1にあたる患者さんが劇的寛解を得られるような状況になりつつあります。

―それは驚くべき数字ですね。標準がん治療では考えられない数字です。

和田 4期の患者さんが抗がん剤治療をもっぱらとする標準がん治療を受けた場合、抗がん剤の毒性もあってほとんどの患者さんが1~2年以内に亡くなってしまいます。ところが、私のクリニックで治療を受けている4期のがん患者さんには、劇的寛解を得ながら5年を超えて生存している患者さん、それも健康な人たちとほぼ変わらない生活を送っている患者さんが、たくさんおられるのです。

―具体的な劇的寛解例をいくつか教えてください。

和田 例えば、40歳代の女性の患者さんの場合、2003年に左の乳房にがんが見つかり、左乳房の部分切除術を受けた後、放射線治療とホルモン療法(注5)を受けていました。ところが、7年後の10年、咳(せき)がひどくなったため検査を受けてみたところ、胸水の貯留とともに肺への転移が見つかり、「乳がんの再発」と診断された。つまり、この時点で病期は4期です。

―その後はお決まりの抗がん剤治療ですね。

和田 そのようでした。ところが、抗がん剤治療が開始されてから半年後、副作用に耐え切れなくなって私のクリニックにやって来られました。初診は11年1月です。初診時、この患者さんは車椅子でやって来られましたが、自力では歩くことすらできないほど衰弱しており、同時にモルヒネの飲み薬を処方されるほどの末期的状態でした。


 ◇「まずは抗がん剤治療中止を指示」


―どのような治療方針を提示されたのですか。

和田 まずは抗がん剤治療の中止を指示しました。この患者さんの場合、断薬に伴うリスクよりも、抗がん剤治療を続けることのリスクの方が大きい、要するに「このままでは死んでしまう」と判断したからです。ところが、主治医はクビをタテに振らない。そこで、次善の策として、大幅な減薬となるべく早い時期での断薬という2段階作戦に切り替えたところ、主治医も何とか了承しました。

―そのほかには?

和田 前回述べたように、尿pH(がん細胞周辺の微細環境)を酸性からアルカリ性に変える食生活の改善を指示しました。この患者さんの場合、命の危険がある緊急事態でしたから、病状が安定するまでは肉や魚は取らない、塩分の摂取も可能な限り控えるなど、徹底改善を実行してもらいました。あとは1日10グラム以上の青梅エキスの摂取(注6)と月1~2回の高用量ビタミンCの点滴です。

―高用量ビタミンCの投与については、効果を疑問視する声もありますが。

和田 その点は私も承知しています。ただ、ある種のがん、ある状態のがん患者さんには、高用量ビタミンCの点滴が奏功したと考えられるケースが実際にあるのです(注7)。この患者さんもこれに該当する可能性があったので、「劇的寛解例に学ぶ」という姿勢から投与を決めました。臨床的に有効と思われるもので、害にならないものであれば、とにかく何でもやってみようと、私も必死でした。そんな手探りでと思われるかもしれませんが、本来、治療とは手探りで行われるものなのです。

―その結果、患者は劇的寛解を得たわけですね。

和田 抗がん剤治療を受けていた間、病巣の縮小は見られませんでしたが、減薬を経て断薬を達成した後、すぐに病巣の顕著な縮小が始まったのです。その後も食生活の改善などを続けてもらったところ、病巣はさらに縮小して体つきもふっくらしてきました。現在では、とても4期のがん患者さんとは思えないほどピンピンしておられます。

―5年前、私が和田屋でお会いさせていただいた女性の患者さんでしょうか。

和田 そうです、あの方です。乳がんの再発が見つかってから8年が経(た)つこの患者さんは今、機会を見つけては和田屋に立ち寄られ、同じ乳がんの患者さんらにご自分の体験を語っておられます。ご自分が選択した治療を押しつけるようなことはおっしゃいませんが、みなお茶などを飲みながら貴重な体験談に耳を傾けておられるようですよ。


 ◇「治療で苦しまずに済む…」


―予後がきわめて悪いとされるすい臓がんでも劇的寛解例は出ていますか。

和田 初診からの年月は先の患者さんほど長くはありませんが、2年前の16年に切除不能の4期すい臓がんが見つかった患者さんがおられます。抗がん剤治療に加え放射線治療を受けていましたが、「副作用が辛(つら)くなってきたので抗がん剤治療をやめたい」ということで、同年の暮れに私のもとにやって来られました。

―どんな治療提案を?

和田 まずは抗がん剤の段階的な減薬です。最初は80%までの減薬、次に50%までの減薬を実施しつつ、中心となる食生活の改善を指示しました。あとは重曹の服用(注8)に加え、梅エキス、りんごエキス、生姜(しょうが)湯の摂取、高用量ビタミンCの点滴などを提案しました。この患者さんの場合、今のところ顕著な病巣の縮小こそ見られませんが、4期のすい臓がんが見つかってから2年以上が経過した18年現在、元気に社会生活を送っています。

―これも一般的には考えられない経過ですね。

和田 そう思います。京大病院時代の弟子たちにこのような数多くの劇的寛解例について話をしても、「そんなはずはない」「何かの間違いでしょう」などと言って取り合おうとしません。私のところには重複がんの患者さんも来られます。乳がん→子宮体がん→肺がんと、三つのがんに連続して見舞われたある患者さんは「二度とがんにかからない体にしてほしい」とおっしゃいました。そこで、食生活の改善に取り組んでもらったところ、以後、4度目のがんにはかからない状況が現在も続いています。

―しかし、その一方で、不幸な経過を辿る患者も決して少なくはない……。

和田 その通りです。私のクリニックでは今、治癒不能とされる4期のがん患者さんの4分の1が劇的寛解を得られるに至っていますが、逆にいえば残りの4分の3の患者さんは依然として治療の甲斐(かい)なく亡くなってしまうということです。しかし、そのような不幸な経過を辿ったとしても、標準がん治療に比べれば、亡くなるまでのQOLをはるかに高く維持することができる、つまり治療で苦しまずに済むという点で一定以上の意味があると、私は自分を納得させています。

―がんがいかに手ごわいものであるか、私も大腸がん経験者として痛感しています。実際、いったん劇的寛解を得た後、がんが再燃してくるケースもありますからね。そのような厳しい現実も見据えつつ、第4回では劇的寛解例をもたらす具体的な食の“献立例”に迫ります。

(次号へ続く)

(ジャーナリスト・森省歩)