転機に立つ医療・2/調整会議/課題山積の長崎区域

2018.05.10


転機に立つ医療・2/調整会議/課題山積の長崎区域
2018.03.23 長崎新聞



 「長崎市は中央部に医師が集中している」

 「公的医療機関に公費が投入されているということを俎上(そじょう)に置いた議論を」

 2月末、県庁であった長崎区域(長崎、西海両市と西彼杵郡)の地域医療構想調整会議で、病院関係者らの発言が相次いだ。

 県地域医療構想は県内8区域別に、2025年以降に必要なベッド(病床)数を推計。どの区域も、現状は病床数が多すぎるとされている。将来の病床数は高度医療を担う「高度急性期」から長期療養の「慢性期」まで4機能別で示されている。国は、ある病院は救急中心、ある病院はリハビリに特化などと区域内で役割分担を決めて数を調整し、病床数を推計数に近づけるよう求めている。区域別調整会議は、この問題を医療関係者らが話し合う場だ。

 県内では長崎区域が特に調整が難しいとみられている。同区域は16年の病床数が計約8300床と県内最大。16年に全体の半数近くを占めている「急性期」病床を減らすなどの再編が必要とされる。だが、現状は長崎市中心部に急性期など多数の役割を持っている総合病院が集中。役割分担を決め病床数を減らすと経営悪化につながる恐れもある。関係者は「公的、民間問わず採算性を求められ、病床を減らすのは厳しい。調整は簡単ではない」と語る。

 焦点の一つは公的機関と民間との役割分担の在り方だ。調整会議には公立、公的病院などの「公的医療機関等」が今月までに、25年に予定している病床の数などを報告している。公的支援を受けている医療機関は、役割分担を決める議論に率先して協力するよう国が求めているからだ。ただ、昨年末に同区域の5カ所が示した計画はほぼ現状維持の内容だった。

 会議の委員で、民間主体の全国組織「全日本病院協会(全日病)」の井上健一郎県支部長(社会医療法人春回会理事長)は「公的機関は民間ができない部分を担うべきだ」と強調。そのためにも「区域全体の将来の最適な姿を考えた上で、各病院が判断しなければならない」とする。

 長崎市中心部と周辺部の医療資源の偏在も大きな課題だ。西海市や長崎市南部は医療機関が少なく、救急搬送などの不安を抱える。委員で同市南部の長崎記念病院(深堀町1丁目)の福井洋会長は「医師の不足と高齢化が深刻で、このままでは南部の医療は崩壊する」と危機感を募らせる。

 調整会議では、このまま中心部に医療を集中させていくのか、それとも周辺部にもコストを掛けて一定の医療を配置するのかといった視点も問われる。

◎メモ/公的医療機関

 公立病院や国立病院機構、各種組合、日赤、済生会などが開設している医療機関。地域に不可欠な不採算医療を公的支援で担っている。長崎区域は▽長崎大学病院▽長崎みなとメディカルセンター▽済生会長崎病院▽日赤長崎原爆病院▽国立病院機構長崎病院。地域医療構想では、一部民間を含めた各区域の「公的医療機関等」が、2025年の病床計画を調整会議に報告している。