医療・看護で地域に貢献 人生百年 生涯教育に力

2018.04.24

[語る 大学最前線]名古屋市立大学 郡健二郎理事長・学長69
2018.04.19 読売新聞



 ◆医療・看護で地域に貢献 人生百年 生涯教育に力

 今月、総合生命理学部を開設した名古屋市立大学は、2年後に開学70周年を迎える。前身の名古屋女子医専の時代から地域医療の担い手を輩出する一方、公立の都市型総合大学として地域に貢献している。今後の地域医療、生涯教育、大学の再編などについて、郡健二郎理事長・学長(69)は「地域や社会、大学が抱える様々な課題に取り組んでいく」と話す。(岡田悟)

 ■高レベルの介護へも

 全国の公立大学で医学部、薬学部、看護学部の3学部を有するのは本学だけです。大学の成り立ちからもわかるように、これからも名古屋市と連携して、地域医療に深くかかわっていきます。

 たとえば、名古屋市立の二つの医療センターの大学病院化は、すでに市議会でも議論され、河村たかし市長も前向きな発言をしています。

 一方、医療や看護と並んで介護が重要になっています。名古屋市の健康福祉局と連携し、もう一段、レベルの高い介護モデルを構築するのも、大学の役割だと思います。成果を楽しみにしてください。

 南海トラフ巨大地震など、この地方で想定されている大地震への対応も進める必要があります。名古屋市の今年度予算で、「救急・災害拠点病院の機能強化」のために調査費が認められました。

 2020年の開学70周年に向けて、三十数年前に開設した「分子医学研究所」を先駆的な研究機関として、機能を向上させていきます。

 ■高齢者の知識欲に注目

 「人生百年時代」を迎え、本学では医学・薬学・看護系だけでなく、今年4月に開設した総合生命理学部を始め、経済学部、人文社会学部、芸術工学部など、幅広い分野の教員を抱える特徴を生かし、生涯教育に対する取り組みを強めています。

 高齢者の知識欲を満たすものとして、生涯教育に特化した学部や修士課程を設け、より専門的に学べるものを目指したいと思います。高齢者の関心が高い健康、医療、歴史、芸術など、幅広い分野で魅力あるカリキュラムができると考えています。

 これらの学部や修士課程に入る方には、在学生のキャリア支援や特技の指導など、これまでの社会人経験を生かして主役(指導者)にもなってもらおうと考えています。一つのキャンパスで若い学生たちと学ぶことは、お互いに刺激が大きいはずです。

 ■枠にとらわれず提携も

 大学は今後、再編の時代を迎えます。文部科学省も国立・公立・私立の枠を超えた再編制度の導入を決めました。ただ、そうした再編はすでに行われてきました。戦後、新制大学が発足した時に再編があり、昭和40年頃には県立医大の一部が、国立大の医学部になりました。近年では地方の私大が公立大になるケースも増えています。

 提携や再編により、入学試験や教養教育、管理部門の共通化、施設の共用など、スケールメリットを生かせる一方、個々の大学の特色が薄れたり、小さな大学が吸収合併されたりするデメリットも考えられます。

 本学でも、学内や同窓会などの意見を踏まえ、少子化という大きなうねりの前で、国公私大の枠を超えた提携をすべきだと考えています。提携にあたっては、互いにウィンウィン(共存共栄)の関係になれるよう、枠にとらわれずに検討を進めていきたいと考えています。


 ◇こおり・けんじろう 1973年3月、大阪大医学部卒。近畿大講師を経て、93年名古屋市立大教授。医学部付属病院長、医学部長などを歴任して2014年から理事長・学長。専門は泌尿器科学で、「結石」が生活習慣病の一疾患であることの解明などにより紫綬褒章を受章した。従来の概念を変える学説を打ち出し、「僕は、人と同じことをするのが嫌いなんです」と話す。好きな言葉は「凌雲之志(りょううんのこころざし)」。


 ◎キャンパスメモ◎

 名古屋市立大(名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1) 1884年(明治17年)に設置された名古屋薬学校が前身。1950年(昭和25年)、名古屋女子医科大と統合し、名古屋市立大として開学。桜山、滝子、田辺通、北千種の4キャンパスに医、薬、経済、人文社会、芸術工学、看護、総合生命理学の7学部を置く。学生数は4426人。医学部付属病院は病床数800。