再建に向けて 8日津島市長選告示 (上) 市民病院 赤字続き 財政を圧迫

2018.04.09

再建に向けて 8日津島市長選告示 (上) 市民病院 赤字続き 財政を圧迫
2018.04.05 中日新聞


 【愛知県】「他の病院は遠いし、近くにないと困る」

 津島市民病院の玄関前。四十代の無職女性は切実な表情で口にした。

 六十代の父親が昨秋、腎臓の病気で入院。退院した今も人工透析などで週三回、家族が付き添って通院する。バスには乗せられず、タクシーを利用。「これ以上遠くなったら、お金をどうすればいいのか。(病院を)何とか続けてほしい」

 市民病院は循環器内科や外科など二十三の診療科を備えた「地域医療の核」。ここ数年累積赤字は増え続け、二〇一七年度の決算見込みで、約九十九億円に達する。「民間だったら、破綻していてもおかしくない」と病院幹部は言う。

 地上六階建て、延べ二万八千平方メートル余。急性期だけでなく、回復期や終末期の医療も充実させようと一九九七年度から九年間で約二百億円かけて改築し、二百八十九床から四百四十床に増やした。

 病床の年間稼働率は近年、八割を割り込む。医師不足で十分な救急態勢を組むことができず、重症患者の受け入れが限られることなどが原因で、空床の維持費や人件費ばかりがかさむ。

 市の一般会計から毎年十億円以上を繰り入れ、一七年度は十九億円を超えた。一部は国の交付税でまかなえるが、市の渕上晴弘総務部長(50)は「負担は重い」と顔を曇らす。

 病院への度重なる支出が市の財政を圧迫。市の貯金にあたる財政調整基金は一八年度末で、市の財政規模から適切とされる額よりも大幅に少ない約三億五千万円(前年度からの繰越金を除く)まで落ち込む見通しだ。

 市のある男性職員は「病院さえなければ、もっと他の事業ができる」とため息をつく。

 病院も少しずつ経営改善を進めている。昨秋、五十一床を休床に。本年度は看護師などの正規職員を二十九人減らし、人件費を年間一億二千万円削減できる見通しという。

 ただ、本年度は電子カルテの更新を控え、新たに八億円が必要に。経営健全化への道のりは遠い。

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 津島市長選が八日、告示される。かつて海部地域の中心として栄えたまちの現状と、再建に向けた道筋を探る。